原発の再稼働はパリ協定に組み込まれている
福井県も原発3基が再稼働を決めた。これは関西電力という個別銘柄別の話ではなく、日本国全体の自然環境問題に直接影響する
福井県の3基が再稼働すれば、温暖化ガスの排出抑制は0.7%抑制する効果があるという。故に特定電力会社の収益に関するだけの話ではない。日本国の環境問題に関する話だ。原発を稼働させるには当該市町村・当該県議会・当該県知事の同意が必要である。福井県は28日にその必須条件をすべてクリアしたと発表した。
国内に60基あった原発のうち、再稼働したのは9基しかない。33基が現存する。24基は廃炉となっている。健全な世論(何が健全かは立場によって異なるが、社会的価値と経済的価値をトレードオフさせるような思考停止状態から抜けることだ)を旺盛にして、脱炭素を推進させることは「パリ協定」の延長線上にある問題である。
そして33基が全部稼働すれば、大風呂敷を広げた温暖化抑制の希望的請願は可能性に近づく。
東電新社長が背負う重い責任
折しも東京電力の次期会長に小林喜光氏の就任を東電が決めた(正式には株主総会の承認が要る)。東電は企業ガバナンスが緩み、危機感が欠けた今の状態では「茹でガエルの状態」だ(日経新聞4月29日版)。地球温暖化などの社会問題では「今さえよければ」という危機感の欠如した状態に小林氏は警鐘を鳴らし、「茹でガエルにはヘビが必要だ」と繰り返していたという。
小林氏は2007年、三菱ケミカルの社長就任直後に、事故や不祥事が相次ぎ、発生する状況に強い危機感を抱き、事業撤退と企業買収を進めた。そして成功し、2015年~19年には経済同友会の代表幹事を務めた。
このままでは会社がつぶれるという危機感を当時抱いた。小林新社長は脱炭素の実現に向けて技術革新を進める。小林体制が背負う責任は重い。既述したが、経産省のある官僚は「小林新社長は火中の栗を拾うどころか、拾い切れないほどの栗があるはずだ」と言ったという。
<初月無料購読ですぐ読める! 5月配信済みバックナンバー>
※2021年5月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
<山崎和邦の投機の流儀 vol.465(5/9号)>
■ 第1部:当面の市況
(1)当面は「三角保合い圏内」か?
(2)商品市況の高騰を追い風にしたオールドエコノミー株が何年ぶりかの新高値
(3)NYでハイテク株が売られる理由と物色の矛先について
(4)NY、「カラバコ」上場にSECが強烈な規制──バブル期の最たる現象
(5)当面の市況
(6)決算発表が本格化すると市場の顔は変わる
(7)ワクチン接種の最後進国たる日本の株
(8)日経平均の「下値限界2万8000円」という説
(9)中長期の見方:“Sell in May.”
(10)バフェット氏、米経済回復の継続を見込む
■ 第2部:中長期の見方
(1)「オリンピック・パラリンピックはやるか?」筆者はやると思う
(2)五輪は決行される。そして失敗する。首相はバッハ会長が決めると言い、バッハは日本国民が決めるという。止められるのは小池百合子の目立ちたがり屋の行動あるのみ
(3)「世界の実験国(被実験国?)たる日本」
(4)習近平にとってトランプより遥かに怖いバイデン
(5)対中包囲網づくり
(6)バイデン政権は売買益に厚く課税する方針、レーガン以降初めてのことに着手
(7)「相場の強さを証明したアルケゴス事件」
(8)FRBの使命に重大な、かつ余計なものが一つ加わった。そこで「FRBを悩ますトリレンマ」というものが生じた
(9)「今はバブルか?」
■ 第3部:株価は景気循環に先行し、経済の実相に先行する。
その株価を見て景気・経済を読み、先回りして成功した著名な10の事例
(1)代表銘柄の天井圏を見て売り抜けて成功した田中貴金属創業者の事例
(2)投機家の株式投機の利益が日本の電力会社を生んだ福澤桃介の好事例
(3)NY株株価の異常高騰を見て、世界恐慌を事前に避け得た4人の著名人の事例
(4)世界恐慌を事前に避け得た4人の著名人-事例その2
(5)世界恐慌を事前に避け得た4人の著名人-事例その3
(6)世界恐慌を事前に避け得た4人の著名人-事例その4
(7)ベンチャーキャピタルの先進国のアメリカの株価を見て学んだ故今原禎治元ジャフコ社長の事例
(8)「含意」を重視して成功した企業創業者の事例
(9)極東証券創業社長の事例
(10)合同証券創業社長の事例
※これらの項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ初月無料購読!
※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』好評配信中!ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『山崎和邦 週報『投機の流儀』』より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
山崎和邦 週報『投機の流儀』
[月額1,500円(税込) 毎週日曜日(年末年始を除く)]
大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。