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米中「脱炭素」主導権争いの犠牲になる日本。米国が削減できない分は私たちが背負う=原彰宏

米国が削減できない分は「日本」が背負う?

日米首脳会談で、日本側にCO2削減を強く迫り、温室効果ガス削減目標50%という数字を突きつけた(結果46%)のも、地球温暖化の主導権を中国と争うための布石だったのかもしれません。

米国ができない分を日本に押し付けるとか。

中国がEV車に舵を切ったことで、トヨタ車の世界制覇は厳しくなりました。

複雑な内燃機関製造に関しては、どこの国も日本には勝てそうにないので、世界が手を取りあって「トヨタ包囲網」を作り、内燃機関を潰すためにEV車にシフトする約束を、共同で取り合ったことは、各国利害が一致することで、そこでも、中国が大きな役割を果たしていると言えそうです。

COP26からは、米中が中心になって物事を決めていくのでしょうね。

京都議定書からパリ協定までの道のり

気候変動問題は、一刻を争う国際社会の重要な課題……この意識に、ずっと国家間で温度差がありました。

発展途上国ほど問題意識が高く、先進国は産業界との兼ね合いで消極的でした。それでも「地球を守る」という、利害を超えた枠組みでの問題意識に背を向けることはできず、各国それぞれが自国の事情を調整しながら、CO2削減目標を承諾してきました。

1995年にベルリンで開催されたCOP1(気候変動枠組条約第1回締約国会議)において、2年後の「COP3で効力のある議定書や法的文書を採択、合意すること」で締約国が同意、これが「ベルリン・マンデート」。

翌1996年にジュネーブで開催されたCOP2(気候変動枠組条約第2回締約国会議)では、排出目標の設定やその拘束力などについて議論が交わされました。これがジュネーブ閣僚宣言」。

そして、1997年に京都で開催されたCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)で宣言通り、京都議定書が採択されました。

世界での実効的な温室効果ガス排出量削減の実現に向けて、精力的な議論が行われてきました。

日本では、外務省、経済産業省、環境省等の関係省庁が協力しながら、この重要分野における国益を増進すべく、交渉に臨んできました。

しかし、後に米国はブッシュ政権時に、京都議定書から離脱しました。

京都議定書に関しては、温室効果ガス(GHG)の削減目標が余りにも非現実的であり、米国経済にとって受け入れ難いコスト負担を強いるからだとしています。とくに米国に不利な点は、基準年の 1990年が不況の年であったということもあります。

Next: 今度は日本が不利に? 各国が排出量MAXの年を基準に削減目標を設定

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