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米国株vs日本株、今買うならどっち?「S&P500だけで十分」派が知らない“いいとこ取り”戦略=栫井駿介

近頃、世の中では猫も杓子も米国株という風潮が漂っています。私の方にも、もっと米国株の推奨を増やして欲しいという相談がやってきます。一部の識者の間でも、もう日本は捨てて米国だけに投資しろという論調すら聞こえてきます。果たして、私たちは、米国株だけに集中すべきなのでしょうか?(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

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プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

米国株が人気の理由その1:株価推移

なぜここまで米国株が取り沙汰されるのかといえば、これまでの株価推移にあると考えます。

長期のチャートを見ると、一時のアップダウンはあるにしても、S&P500は大きく伸び続けています。

S&P500 月足(SBI証券提供)

S&P500 月足(SBI証券提供)

S&P500を30年間持ち続けるだけで30倍以上にもなった計算です。

一方で、日本の30年前といえばバブル経済がちょうど崩壊する時期でしたから、それからの株価推移は無残なものとなっています。

TOPIX 月足(SBI証券提供)

TOPIX 月足(SBI証券提供)

この比較を取るだけでも米国株に優位性があるように見えてきます。

米国株が人気の理由その2:シリコンバレー

また、その中身についても、魅力的なものが多く含まれています。世界的IT企業であるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と呼ばれる企業はいずれも米国企業です。

これらのIT企業の急成長が、米国株を大きく引き上げてきたことは確かです。

アメリカにはシリコンバレーをはじめ、このようなIT企業が発生し、成長する土壌があります。その成長を享受できる米国株はやはり素晴らしいと言えます。「次のApple」が誕生し続ける限り、米国株の先行きは明るいように見えます。

米国株が人気の理由その3:株主優先主義

米国株が素晴らしいと言える3つ目のポイントに、株主優先主義があります。

米国で「企業は誰のものか」と尋ねたら、多くの人は「株主のもの」と答えるでしょう。日本だと、「従業員」や「お客様」との声も多くなるのと対照的です。

株主優先の考え方があるからこそ、配当や自社株買いには積極的です。多くの米国企業は自己資本比率を大幅に減らしてでも配当や自己株式取得に回す傾向があります。中には、債務消化に陥ってまでも、株主還元を行う企業も見られます。それほど株主からの評価というのは大切なのです。

株主優先主義を取る以上、至上命題となるのが利益の成長です。利益を成長させるためには、様々なアイディアを駆使して、経営を軌道に乗せる必要があります。その仕組みが米国企業に整っているのです。

Next: 日本株に未来はあるか?投資収益の源泉「成長」と「リスクプレミアム」

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