国産ワクチンの承認急務
外国産ワクチンに頼り、国内でのワクチン開発が遅れていることはすでに批判の的になりましたが、その中で国内では4つの「日の丸ワクチン」の開発が進行中です。
このうち、組み換えタンパクワクチンを開発している塩野義製薬は、年内に6,000万人分の提供が可能との見方を示しました。これは管理しやすく、低コストで有望と言います。
また大阪大学とアンジェス社が共同開発しているDNAワクチンが、数百人規模の治験を行う第2相段階に入っています。第1段階の小規模治験の結果が前月報告され、6割から7割の人に中和抗体ができたと言います。
欧米のmRNAワクチンには副反応の不安もあり、接種に消極的な姿勢が若い人中心に多いのですが、「“日の丸ワクチン”ができれば接種したい」との回答が多く寄せられています。それだけ、国産ワクチンへの期待が高まっていますが、塩野義が先行する一方、アンジェスのものはまだ大規模治験がなされず、実用化時期がわからないと言います。
ファイザー・モデルナのワクチン確保が難しければ、国産ワクチンの開発承認を、国を挙げて支援するしかありません。
今回のコロナワクチンの有効性が切れれば、いずれにしてもまた接種が必要になります。幸か不幸か、アジアでまた感染が拡大しているので、日本以外の地で治験に協力を求める余地もあります。
少なくとも安全性が確保されれば、実用化に向けた政府支援を期待したいと思います。
抗ウイルス薬の承認を急げ
ワクチンの確保がすぐにはできない場合、これに代わるコロナ対策が必要になります。
その最有力手段が「抗ウイルス薬」の活用です。専門家の間では日本の大村博士が発見し、抗寄生虫症向けに開発されたイベルメクチンが、新型コロナに対しても、感染予防、重症化予防のいずれにも有効と評価されています。
しかも、予防上では2週間に1回、高齢者で3錠、若い人で4錠服用するだけで良いといい、コストも安く、誰にでも手の届く薬です。厚生労働省も、新型コロナの治療用に使うことを認めています。
今は患者と医師との合意の下で利用される程度だそうですが、予防効果があるなら、一般医療機関でも使えるようにし、かかり付け医の管理の下で服用すれば、ワクチンの穴埋めになります。
また、感染しても初期の段階で投与すれば、重症化が防げ、医療ひっ迫の回避にも役立ちます。これまでの利用で、これといった深刻な副反応、副作用は報告されていないと言います。
このイベルメクチンの他にも、新型コロナにも効果が期待される抗ウイルス薬がいくつかあります。ワクチン失政で政権を失いたくなければ、治療薬の承認を進めるべきです。