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米国に切り捨てられる韓国半導体業界。慌ててサムスントップ仮釈放もすでに手遅れ、二股外交のツケが回る=勝又壽良

韓国が世界に占める半導体産業の世界地図は、これから塗り替えられようとしている。米国向けの半導体輸出が将来、米国内の生産に置き換わる可能性と、米インテルが新半導体開発でサムスンを引き離すという情報が駆け巡っている。この問題は韓国経済にとって重大な局面転換を意味する。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

【関連】なぜ人権にうるさい韓国がウイグル問題に触れぬ?二番煎じの米韓会談で文在寅は窮地に立つ=勝又壽良

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2021年8月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

米国、サプライチェーンづくりに本腰

米国は、米中対立に伴い半導体・レアアースなどのサプライチェーンづくりに乗り出している。これによって、中国に依存せずに安定的供給を実現しようという狙いだ。

このサプライチェーンづくりには、米国と同盟国が協力するので、日米韓3ヶ国が核になる。

米国の狙いは、国内の生産能力を引き上げるべく同盟国に協力を求めて、米国絶対優位の体制をつくることにある。さらに、日韓には中国と疎遠にさせるという副次効果を期待している。

中国封じ込めを目指しているのだ。

半導体生産で韓国2位

米国のサプライチェーンづくりの核は、半導体生産である。米国は半導体の母国であるが、海外での生産が活発化して、国別の生産能力シェアではトップの座を失っている。最新データ(2019年12月)では、次のような結果となっている。

台湾:21.6%
韓国:20.9%
日本:16.0%
中国 :3.9%
米国:12.8%
欧州:5.8%
その他:9.0%
(米IC Insghts調べ)

上記のデータは、生産企業の国籍を問うていない。中国が、米国を上回る半導体生産能力を持っているのは、中国企業以外に他国資本の生産が加わっていることを示す。企業別の半導体売上高では、米インテルが世界首位(15.6%=2020年)である。

だが、インテルは米国での生産を減らして他国へ進出して生産している以上、安全保障という観点から言えば、極めてリスキーな立場に置かれている。

米国バイデン政権が、半導体の国内生産ウエイトを上げて、「万一」の事態に備えようというのは今回のパンデミックが大きな教訓になった。その後の世界的な半導体不足に悩まされ、米国企業が軒並み影響を受けたことから、米国内での半導体増産にシフトすることになった。

台湾は、半導体生産で世界トップである。これは、TSMCという世界半導体のファウンドリー(半導体委託生産)企業が君臨している結果である。世界7位の米テキサス・インスツルメンツと密接な関係を持つ企業だ。台湾が、半導体生産で世界トップというのは、中国にとって羨望の的である。

中国企業による半導体生産は、試行錯誤の状態である。中国国営の半導体企業である紫光集団(精華大学主体)は、4回もデフォルト(不渡り)を出して目下、裁判に付せられているほど。中台で、半導体技術の差をこれほど露骨に見せつけているケースはないであろう。

中国が最近、台湾に対してしきりと軍事的な圧力を掛けている背景には、台湾市民に独立を諦めさせて、中国と一体化するように誘導しているとの説も出てきた。中国の狙いは、半導体技術をまんまと手に入れることだ。中国にとっての半導体は、超重要なテーマである。

Next: 韓国経済に暗雲。なりふり構わず、服役中のサムスントップを仮釈放へ

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