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米国に切り捨てられる韓国半導体業界。慌ててサムスントップ仮釈放もすでに手遅れ、二股外交のツケが回る=勝又壽良

米国は世界の王座奪回

米中冷戦が、韓国経済を襲おうとしている。韓国が、世界に占める半導体産業の世界地図は、これから塗り替えられようとしているのだ。韓国はグローバル経済の下で、半導体を米中へ自由に輸出してきた。それが、今後は急速に変わろうとしている。

現在、世界で注目され始めたのは、「産業政策」という政府主導の産業育成政策である。この産業政策は、戦後の日本で始まったものである。日本が、政府・金融機関・企業の三位一体体制で産業強化を図って大成功した経緯がある。

これを、中国が踏襲し大規模な補助金を与えて行っている。中国の場合、先端産業では失敗している。基礎技術のないところで補助金を与えても無駄金になっている。自動車では、今でも満足なエンジンを製造できない状態だ。精密工業が未発達な結果である。基礎学力のない者に応用力がつかないのと同じである。

産業政策では、既述の通り日本が先輩格である。日本の例で言えば、研究開発費を支援する。また、有利な融資条件を整備することで、設備投資を刺激して十分に成果を上げた。米国の研究開発は、民間が主体である。政府関与分は極めて少ないのだ。そこで政府関与分を増やして、民間研究を誘導すれば成果は上がるはず。日本の例が、それを証明している。

米国の力点を置いている半導体産業では、インテルがすでに積極的な動きを始めている。

インテルは、「半導体恐竜」と呼ばれているが、半導体委託生産会社である米グローバルファウンドリーズの買収合併カードを切った。半導体業界は、世界ファウンドリー(半導体委託生産)市場が再編する可能性を孕んできたと見ている。

世界のファウンドリー市場で企業別のシェア順位は、3月末基準で見れば次のようになっている。

TSMC(台湾):55%
サムスン電子(韓国):17%
UMC(台湾):7%
グローバルファウンドリーズ(米国):5%
(出所:『中央日報』7月20日付)

インテルは、世界4位のグローバルファウンドリーズを買収して、本格的にファウンドリー市場へ参入する意向を見せた。これは、サムスンにとって脅威である。TSMCが世界市場の過半を握っているのは、半導体企業と直接の関わりのない「中立性」を買われたものと指摘されている。インテルが、別働隊でグローバルファウンドリーズを手中にすれば、大きな相乗効果を上げて、サムスンを蹴散らす要因になると見られる。

インテル「2ナノ半導体」量産を宣言

サムスンにとっての脅威はこれだけでない。インテルが、次のような爆弾的な発表をしたことである。

「2025年にファウンドリー(半導体受託生産)市場で2ナノメートル(1ナノメートル=10億分の1メートル)級半導体を量産する」と宣言したことである。

回路線幅2ナノメートルの半導体は、サムスン電子と台湾のTSMCもまだ手がけていない「技術力の限界」に挑戦する製品とされている。

インテルは、この3月にファウンドリー市場への進出を宣言した。それから4カ月で、「ファウンドリーでも世界1位を占める」という野心を表わしたと専門家は分析している。インテルは、バイデン政権の半導体重視戦略に乗って、これまでの失地回復戦略へ本格的取り組みを始めたと言えよう。

半導体業界は、第4次産業革命関連技術が発展し、半導体需要も増えると予想する。日立の元半導体専門家である湯之上隆氏の予測によれば、2020年の世界の半導体需要4,331億ドルが、2050年には、8,622億~1兆123億ドルになるという。

湯之上氏は、2010年に2020年の世界半導体需要を4,125億ドルと予測した。当時は、「過大予測」とする見方もあったが、現実は4,331億ドルになって「過少予測」であったのだ。

半導体市場トップ国が、世界経済の勝利者になることは間違いない。

Next: 韓国の二股外交は通用せず。半導体を制するものが世界経済を制す

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