リクルートの強味
では、これらを踏まえてリクルートの強みというところを改めて考えてみたいと思います。
特徴と強みとしては、まず情報産業に軸足を置いているというところがあります。1960年創業ですから、実に半世紀以上に渡って、情報、特にライフスパンにおける情報を扱ってきました。もともと大学生の就職というところから始まったのですが、結婚や家を買う、車、日常に関していえばホットペッパー、旅行のじゃらん、とそういったところに取り扱う情報というのを増やしてきました。
もっと言うと、それをより効率的により情報が力を持つ時代になったのが、このデジタル時代というところになってきます。私が大学生の時は、よく駅前で分厚いホットペッパーの紙をお兄さんたちが配って歩いていたのですが、それが今やスマホになってから、コストは下げて、情報価値というものは上がってきたわけです。
デジタルシフトを早く進めたことによって、リクルートはさらに強みを増してくるとを同時に、お金もどんどん溜まってきたというところになります。
そして、ここの素晴らしいのは人材教育です。
実はこの会社というと、就活をしてる人なら聞いたことがあると思うのですが、リクルートに入ったからには、入ってから10年以内に辞めて独立しましょう、というような空気があります。
実際にリクルート出身で、独立していろんな企業を作ったという人は枚挙に暇がありません。そういった風土があるので、当然この10年間のうちに何かを自分でできることを見つけないといけないので、社内でやることは必死なわけです。
だからこそ、新たな事業に手を出すということができるのです。
近年は、これが少し拡大しまして、今では10年ですぐ出て行けというほどではないようなのですが、一方で若い人に新たな事業を任せて、それをやがては社内の1つの大きなを軸として育てていくという、そういった風土があると言われています。
こうやって様々な事業に手を出すしても、リクルートは巨大な企業ですから、先にやっていた会社があったとしても、後から乗り出して行っても、すぐにその先行企業を上回るような力、財力、知名度、ノウハウというのもをすでに持っているわけなんです。
もちろんそれだけではなくて、リクルートで有名なのが“ビル倒し”という営業力にあります。とにかくビルを一番下から上まで全部営業をかけるほどの強い営業に対する根気というものを、要請されるとも言われます。
そういった中で、様々な人材を中にも外にも抱えるというような状況になってきていました。
この強味というのは、簡単に崩れるものではないという風に考えます。