fbpx

「新首相は河野太郎」バイデン政権から圧力?ジャパンハンドラーは対中強硬しか認めない=高島康司

元首相補佐官・今井氏はアメリカ軍事投資会社のアドバイザーに

一方、このレポートのなかで親中派の代表として名指しされていた安倍政権当時の首相補佐官であった今井尚哉氏は、すでにその立場にはない。役職を辞している。

しかしながら、いまの今井氏が何をやっているのか調べると、興味深いことが分かった。なんと「カーライル・グループ」のシニア・アドバイザーになっているのだ。以下がそのリンクだ。
※参考:今井 尚哉 – The Carlyle Group

ちなみに「カーライル・グループ」は、米軍産複合体の中核になっている投資会社である。ここは投資家から資金を集め、それにより企業を買収し、収益力を向上させて企業を転売し、売却益を出資者に配当するという、いわゆるプライベート・エクイティ・ファンドを運営している企業だ。

こうした投資会社は多いが、「カーライル・グループ」が突出しているのは、買収する企業の多くが軍事会社であるということである。「カーライル・グループ」はブッシュ(父)元大統領、ベーカー元国務長官、カルーチ元国防長官、メジャー元英首相などの多くの政治家をアドバイザーとして抱え、彼らの人脈を生かして、政府の国防費の支出先を事前に把握する。そして、支出対象になっている企業を事前に買収し、それが国防費の支出で大きくなると、高値で売却するという方法で巨額の利益を得ている。

2001年の「9.11」同時多発テロ以降、アメリカはアフガニスタンとイラクに侵攻したが、このとき国防総省が管理する多くのプロジェクトが民営化され、民間の軍事会社に委託された。アフガニスタンやイラク政府軍の再構築、これらの国々におけるインフラ建設、治安維持部隊の結成などだ。「カーライル・グループ」は、こうした軍事委託企業を手当たり次第に買収して後に転売し、巨額の利益を得た。「ビン・ラディン一族」とも深い関係にある。

また「ジャパン・ハンドラー」の牙城である「CSIS」の出資者は、「ノースロップ・グラマン」「ロッキード」「ボーイング」「ロッキード・マーチン」「レイセオン」などの軍事企業が中心だ。これらの企業に「カーライル・グループ」も出資している。

その意味では「カーライル・グループ」は、米軍産複合体という巨大コミュニティーの中核であり、「CSIS」とも深くつながっていると見てよい。

なぜ今井氏がこのような「カーライル・グループ」にシニア・アドバイザーになったのかは分からない。「カーライル・グループ」は、各国の元政府関係者を積極的に雇って要人にアクセスし、いざというときには政府や議会を動かして投資による利益獲得を狙う企業である。

そうした手法を見ると、今井氏は自民党の要人や官僚に深い人脈を持ち、それを利用して「カーライル・グループ」の利害の実現に手を貸す立場にいる。

一時は親中派として批判されていた今井氏だが、いまは米軍産複合体の側にいるのだ。

バイデン政権を支える軍事産業とウォール街

ところで、以前の記事にも書いたが、バイデン政権を支えているのは、「外交問題評議会(CFR)」に結集している勢力だ。これは、トランプを支えた「リバタリアン」とは異なる勢力だ。バイデン政権の主要な閣僚を調べると簡単に分かることだ。

以下が「CFR」に所属している閣僚だ。

・ジャネット・イエレン財務長官
・アントニー・ブリンケン国務長官
・トム・ヴィサック農務長官
・ジナ・レイモンドー商務長官
・アレジャンドロ・マヨルカス国土安全保障省長官
・サルマン・アハメド国務省政策企画部部長

バイデン政権の主要閣僚は16人だ。そのなかで「CFR」の正式メンバーが6人というのは少ないとの印象も持つかもしれないが、それは違う。トランプ政権で「CFR」のメンバーは実質的にゼロであったのだ。

このことから、やはり「CFR」のバイデン政権に対する影響力は大きいと見なければならない。特に、上記のもっとも重要な閣僚のポストが「CFR」のメンバーで固められているのは注目に値する。バイデン政権は「CFR」の影響下にある政権だ。

いま「CFR」は、5,000人のメンバーと企業が参加し、50人の専門研究員を抱える巨大なシンクタンクになっている。いま、バラック・オバマ、ビル・クリントン、ヒラリー・クリントン、チェルシー・クリントン、ジョン・マケイン、ジョン・エドワーズ、ミット・ロムニーなどの著名な政治家とその子息もメンバーだ。

そして、大口に資金提供者だが、「ロックフェラー」のほか、ウォールストリートの名だたる金融資本、さらにはアメリカを代表する軍事企業が出資者のリストに名前を連ねている。「CFR」は、軍事産業、ならびにウォールストリートの金融資本の経済的な利害を、アメリカの外交政策に反映させるためのシンクタンクだと言ってよい。

Next: ウォール街も河野太郎氏を歓迎。次期政権は“対中強硬”が必須条件か

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー