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「新首相は河野太郎」バイデン政権から圧力?ジャパンハンドラーは対中強硬しか認めない=高島康司

バイデン政権に「対中外交ハト派」を認める余裕はない

「ストラトフォー」はこのような予測であった。

つまり、派閥を越えた支持のある安倍元首相以外の候補が総裁になれば、自民党の結束は難しく、政権基盤の弱い首相しか誕生しない。

そのような状況では衆議院選挙で安定多数の獲得は難しいので、連立している公明党への依存度は高くなる。その結果、アメリカと中国をバランスさせるハト派的な方向に日本は軟化するのではないかという観測だ。

しかし、今回の総裁選が行われるタイミングを見ると、中国に対するハト派的な姿勢を容認する余地は、バイデン政権にはないことが分かる。実は米軍のアフガニスタンからの撤退以後、世界の地政学的は転換が加速しているタイミングで、総裁選が実施されるのだ。

前回の記事に詳述したように、バイデン政権は「ISIS-K」などのテロ集団を利用してタリバン政権をとことん不安定化させ、アフガニスタンをテロの温床とすることで、中国やロシア国内にテロを引き起こし、国力を消耗させるという戦略に大きく舵を切った可能性がある。

【関連】アフガン崩壊は意図的か。日本も巻き添え、アメリカの「敵対国まとめて弱体化」戦略=高島康司

これは1979年のアフガニスタン紛争の際、ソビエトに抵抗する「ムジャヘディーン」を資金的に、軍事的に支援して、ソビエトの弱体化を図ったと同じ戦略である。いま米国務省や国防総省の政策立案者には、ブレジンスキーの弟子のような人々が多い。ブレジンスキーの戦略はいまも生きている。

バイデン政権はアフガニスタン撤退後、中国、そしてロシアの拡大を本気で抑える方向に外交政策の舵を大きく切ったのだ。

「親中は許さない」二階おろしもジャパンハンドラーの意思か

このような状況でバイデン政権は、日本にも対中強硬路線を採るように圧力を強めてきていると見て間違いないだろう。

菅政権はコロナ対策を始め内政を優先した政権で、4月に訪米した際、バイデン大統領との共同声明で台湾海峡における中国の進出を牽制したものの、実際の外交政策はアメリカと中国とのバランスを取るハト派的なものだった。

アフガニスタン撤退以後の状況では、中国に対してハト派的な姿勢の政権は許容できない。特に、今年の7月に軍産系の「ジャパンハンドラー」が結集するシンクタンク、「CSIS」が出した報告書、「日本における中国の影響」で批判された親中派が実権を握る菅政権ではなおさらである。

ちなみにこの報告書のなかでは、二階幹事長は次のように批判されていた。

・二階は故郷である和歌山の動物園のためにパンダを5頭も中国から買った。

・2019年4月、安倍首相の特使として習近平と会談し、アメリカにはアメリカの方針があるにもかかわらず、それを無視して日本は「一帯一路」に協力すると提唱した。

・二階は習近平主席の国賓訪日を主張した。二階は日本の対中援助関係は、中国への影響力の始まりだと見ている。

また、安倍政権当時の今井尚哉首相補佐官に関しては、次のように批判されている。

・元首相補佐官で経済産業省官僚だった今井尚哉氏は、ビジネス的立場から、中国や中国のインフラプロジェクトに対する姿勢をより友好的にするよう、安倍元首相を説得してきた。

・今井は二階とともに強力なグループを形成していて「二階ー今井派(Nikai-Imai faction)」とも呼ばれている。今井は、日本の安全保障戦略の一環として経済問題を提起してきた重要人物である。

さて、これを見ると分かるが、「ジャパンハンドラー」は二階幹事長を引き下ろすことには強い意欲を持っていることが分かる。

また、二階を許容し、ハト派的な外交を続ける菅政権も引き下ろす対象になった可能性がある。少なくともそのような圧力が、バイデン政権から非公式にあった可能性は高い。

Next: 元首相補佐官・今井氏はアメリカ軍事投資会社のアドバイザーに

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