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次期首相の敵はインフレ。2022年、オイルショック級の物価上昇が日本と世界を襲う=吉田繁治

コンテナ便の料金は6.6倍に高騰

サプライチェーンの物流は国際コンテナ便に依存します。

料金は、2020年の1月は2,420ドルでしたが、2021年の1月は5,250ドル(58万円:へと3倍に上がっています。21年7月は更に上がっていて1万3,630ドルです(150万円:20年1月の5.6倍の料金:上海~NY:EAST BOUND:20ftの標準コンテナ)。上海からNYまで25万円というのが、通り相場の常識でしたが、今はその5.6倍です。

2020年1月:2420ドル → 7月:2,760ドル → 12月:4,100ドル →
2021年1月:5,250ドル → 7月:1万3,630ドル……
※参考:主要航路コンテナ運賃動向 – 日本海事センター

当初、コロナによる一時的な上昇かと思っていました。

しかし2021年7月には5.6倍に上がり、下がる気配がない。世界のコンテナ便の料金が同じ傾向です(※筆者注:原油のタンカー便は上がっていません。洋上備蓄が多くなっているためです)。

なぜ運賃上昇?

なぜ商品や部品を混載するコンテナ便の非常な高騰が続いているのか。

国内物流、出荷港、そして船舶に、コロナでの低操業と休業が増えたために、便が足りなくなったからです。

NYのコンテナ港(NJ州セコーカス)には、運ばれないコンテナが山積みです。2020年の11月から現在まで、9か月続いています。

船会社の利益は上がった。しかし、運航する便数は減った。

国際物流費の異常な高騰は、2022年の世界の物価上昇(製造物価の上昇)を先行して示しています。

状況改善の見通し立たず。デルタ株とその後の変異でコロナ危機は長期化

デルタ株は、解明されていない季節要因から、いったん10月には収束するでしょう。

しかし、ワクチンに耐性をもつデルタ株とその変異は、2021年11月末から、世界的な感染爆発を起こす可能性が高い。

蔓延がいつまで続くか、何回繰り返すか、予想できる人は世界中の専門家にもいません。ワクチン願望しかないのです。

2022年の、中国とアジアからの国際サプライチェーンはどうなるか予想ができない。2021年の12月からは、より大きなサプライチェーンの停止、つまり物流と生産の縮小になる可能性が高い。

これは大戦のとき以外には起こったことのない、「供給ショック」です。

平時に、需要に対して供給が下回る事態が長期化すれば、「石油危機並みの物価上昇」に帰結します。

Next: オイルショック以来のインフレが世界中で発生する

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