潰れない東芝
さて次は東芝の問題であるが、これは技術や現場に問題があったわけではない。粉飾決算という、経営幹部の為した悪事である。その幹部が辞めて再建の道筋が立てば、原子力については世界レベルの企業だから、多分、経産省は福島の後始末にも尽力させたいであろう。将来の原発再稼働にも役立たせたいはずだ。
だから、「組織ぐるみの大粉飾決算」であっても、新聞もテレビもそうは表現せず、単なる「不適切会計」で押し切った。ここにはなんとか東芝を「生き残らせたい」という意図が透けて見える。
ゲスの勘繰りとしておいてもらいたいが、あのとき、新聞にもテレビにも強烈な言論統制が敷かれていたに違いない。そうでなければ、あんな大規模な組織ぐるみの大粉飾決算を軽く「不適切会計」と言いこなすことはできない。報道の監督官庁は総務省だ。
もちろん、上場廃止もしない。これを決めるのは東証である。その監督官庁は金融庁だ。従ってこうなる。経産省と総務省と東証と金融庁とが「握っている」に違いない。
以上は筆者個人の「ゲスの勘繰り」としておこう。本稿の内容についての責任は全て私・山﨑和邦にある。
オリンパス復活の背景
次にオリンパスの大粉飾決算である。これは上部3人が懲役2年6月(執行猶予付き)になってコトは済んだ。残ったのは英国子会社の買収を手伝ったとされた容疑者の無罪判決だけである。無論、上場廃止にもならない。
幹部が大粉飾をしたということは上場廃止に該当するが、上場廃止にならなかった。決めるのは東証である。
株価は事件前の2倍以上に上昇した。事件の最中の安値を買えば10倍になった。これも、決算の粉飾はあっても内視鏡の技術は世界一だし、世界シェアの7割を占めるという事実は何ら変わらない。市場はそれを多として株価は蘇った。
西武鉄道そしてJAL~上場廃止と再上場
西武鉄道は上場廃止になった。株主構成の大幅な虚偽報告を長期間していたからである。堤社長は、「すべては自分が命じてやらせたことだから自分一人を取り調べればコトは済むはずだ、社員を拘束してくれるな」と言って一人でコトの顛末を明らかにし、上場廃止の罪を負い、さすがに西武のドンだと却って再評価された。
鉄道事業は勿論、平常通りに進んでいた。市場はこれを良しとして、株主構成を改めて再上場し株価も立派に蘇った。
運輸省天アマ下り幹部の放漫経営と言われてもやむを得ない日本航空は、経営破綻して上場廃止に追い込まれた。比例配分ストップ安が続いて完全合致で寄り付いたときはタダの6円だった。
原理原則に従った言動一致を身上とする筆者は完全合致の日にヨリで50万株を買った。50万株と言っても300万円にすぎない。直後に想定通りの動きをしなかったから諦めて後場のヨリで投げた。後場ヨリは10円だったから6円で買った50万株は10円で売れて191万円の利益を得た。これは、想定通りでなかったから投機の鉄火場の掟に従って投げたのに儲かったという、いわばマグレの利益で不浄のカネである。
当社は運輸省アマ下りの幹部による放漫経営であってビジネスモデルに間違いはなかった。そこで国のカネを注入して稲盛さんを投入して再建させた。社員が一丸となって立派に再建させて再上場を果たし、今は稲盛勢は引き上げて独立した経営を続けている。市場は事前にこれを読んで投機参加者に対し「まぐれの利益」をもたらしたのかもしれない。