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格差広げる「GoTo」再開を急ぐ自公の矛盾。岸田政権は国民の“不公平感”を払拭できるか?=斎藤満

負担と受益の乖離

もう1つの壁は、岸田政権が掲げる「分配」との兼ね合いです。

「Go To」キャンペーンを進める際、その資金負担は税金などで国民全般に広く求めることになります。若い人も高齢者も所得がある人には負担が発生します。

しかし、受益面ではかなり利用者分布が偏る可能性があります。

前回の「GoTo」キャンペーンでは、高級ホテルの利用が多かった半面、低コストのビジネス・ホテルなどは恩恵が回りませんでした。

その分、富裕層がより利益にあずかり、低所得層は利益にあずかりにくい「格差」が発生しました。

今回は平日利用を優遇するとなると、平日に休める人と休めない人とで不公平が生じます。

またコロナの感染がなくなったわけではないので、感染リスクを恐れる人と、これに無頓着な人との間で、利用面での差が見られました。感染しても重症化しにくいとされた若い人が積極利用した半面、基礎疾患のある人、高齢者の間では感染した場合の重症化懸念から、キャンペーンを利用できない層も少なくありませんでした。

前回のキャンペーン時に比べると、全体にワクチン接種が進んだ分、高齢者の行動範囲も拡大しましたが、デルタ株では若い人でも感染して重症化するケースが多く見られたため、依然として感染リスク・フリーの状態とは言えません。

従って、受益者に偏りが出やすい一方で、資金負担は万遍なく負担させられる「ギャップ」が壁となります。

マイナンバーカード誘導の狙い

同様の問題は、マイナンバーカードを経由した給付案でも生じます。

コロナでの痛みを政府による現金給付で緩和する案が多くの党から提案されています。その中に、スピード感、手続きの容易さから、マイナンバーカードを利用し、これに電子マネーで給付したり、マイナポイントを付与する案も聞かれます。これは副次的にマイナンバーカードの普及を促す狙いもあるようです。

しかし、国民が皆マイナンバーカードを持っているわけではありません。

前回の「マイナポイント」の付与で若い人の間でカードの作成者が増えたと言いますが、それでもまだカードの作成者は少数派です。マイナンバーカードを持っている人だけ給付金を受け取れるということになれば、持っていない人々との「不公平」が生じ、新たな「分配」問題を引き起こし、反発を招きます。

マイナンバーカードを持ちたくない人にはそれなりの理由があります。日本でのセキュリティに不安を持つ人が多く、現に個人情報が韓国や中国に流出するリスクも懸念されています。デジタル化が進むスピードに対して、セキュリティが追い付かない状況では、電子決済に消極的な人も少なくありません。

また、政府の信頼度が高くないと、個人情報がどのように利用されるのか、政府に監視されている社会はまっぴら、という人に安心材料を示さねばなりません。

これらのハードルが高いだけに、マイナポイントの感覚で現金給付を進めることには大きな抵抗があり、むしろ反発を呼びます。

Next: 不公平な「富の再分配」で格差がさらに広がる可能性

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