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日本郵政株は今すぐ手放せ。政府の大量売却で株価上昇は望み薄、配当にも期待できぬ理由=栫井駿介

配当金は長期安定するのか?

こういった、成長があまり見込めなくて一方で規模だけはあるから安心できるというような企業を見るときに大切なのは、配当です。

株価の上昇はどうしても見込みにくいところがありますから、一方で安定した配当を出し続けてくれれば、それくらいのリターンは得られるという見方をしなければなりません。

日本郵政の配当は毎年50円というのを基本としています。 2025年度まではこの50円を維持するというふうに言っています。

ところが、今回の政府の売り出しによって政府の売却が終了したのです。

政府が売却を計画しているうちは、政府もなるべく高い価格で売却したいので、なんとか配当は維持させて、株価を少しでも高く留まらせようと考えるのではないかと思います。

しかし、売却が終了してしまいましたから、もう日本郵政の株価を高く留めておくべき理由が無くなってしまいました。

従ってこの配当が2025年以降どうなるかということも分かりませんし、もしかしたら2025年を待たずに減配してもおかしくないです。

利益が減っていて、50円の配当を維持するといっても配当性向50%超という利益の半分以上を配当に出すという状況が続いています。

正直、先の見込みもあまりありませんから、いつ減配してもおかしくないという状況ではないかと思います。

政府が売ったのは、さらに下がる可能性があるから?

そもそも、国有財産である日本郵政株をPBR0.25倍という本来あるべきところの4分の1で売ったのは、復興財源に充てるという名目があるので、2027年度までに売らなければならないということもありますが、今以上に下がる可能性があるからではないかと考えられます。

ここで言えることは、政府が株価を下支えする思惑もなくなりつつあるというところではないかと思います。

では、そんな時に投資家としてどうするのか、特に今回の売り出しで820円で購入した人はどうするのか。

11月10日水曜日の終値であるが842円で売却するとしたら、22円、購入金額に対して3%の利益が出ます。しかも売却するので、以降の株価変動リスクはありません。

一方で配当を見込んで保有を継続した場合、3月末まで保有したら50円ですから、6.1%の配当を得られ、これで考えるとほぼトントンという風にも見えます。

ただし、持ち続けて配当を受ける権利を獲得した後というのは、株価が維持されるかというとそうではなくて、多くの場合、高配当株であればあるほど、その後この配当分くらいは株価が下がりやすいのです。

「配当落ち」という現象です。

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これは2021年の3月末のものですが、3月29日から翌営業日にかけて終値ベースで68円下落しました。

配当の50円をもらって売ってしまうことが多く、その直前にある程度上がることもありますが、結局それまでの株価推移がものを言いますから配当をもらおうと思っていてもなかなか厳しい部分もあります。

Next: 長期で見ると、日本郵政の株を持っておく理由は乏しい

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