立憲はリベラル派の岸田総理との差別化に失敗した
立憲が負けたもう1つの理由は、選挙直前に菅総理から岸田総理に交代になったことです。
岸田総理の政策はリベラル寄りであり、立憲民主党は差別化が難しくなってしまいました。
安倍政権、菅政権に対する批判票を取り込むという戦略に嵌り過ぎた立憲は、直前での岸田総理への交代で肩透かしを食ってしまいました。
一方、自民党が議席を伸ばすまでには至らなかったのは、今まで安倍総理や菅総理の政策を支持していた保守層の一部が、維新などの他の政党の支持に回ったということがあります。
立憲支持の穏健派(右派)のかなりの部分が自民党に流れ、逆に自民党支持層の右派の一部は維新に流れたという構図ではないかと考えます。
無党派層は、自民党を中心に、その他は維新や国民民主に流れ、立憲は本来獲得すべき無党派層の支持を得ることができなかったのではないでしょうか。
甘利幹事長の落選で崩れた宏池会トライアングル
今回の選挙結果で顕著だったのは、大物議員が多く落選したこと。自民党では、甘利幹事長も落選しました(比例では復活)。
岸田政権は、甘利幹事長の影響力が大きいと言っていました。それがl就任1か月足らずで幹事長を辞任することになり、岸田政権の権力の構図は大きく変化しそうです。
岸田総理・麻生副総理・甘利幹事長という旧宏池会トライアングルで、将来的な大宏池会構想を実現したいという話が、甘利幹事長が辞任することで早くも崩れ去ってしまいます。
甘利幹事長という目の上のたんこぶが取れることで、岸田総理の権力基盤が強化されるかどうかですが、今回の選挙で自民党は選挙に勝利したとまでは言えず、岸田総理の党内基盤はそれほど強くないままだとは思います。
安倍元総理や麻生副総理にお伺いを立てながら政権運営を進めるという、党高政低の状況は当面は大きく変わらないと考えます。
さらに、8か月後には参議院選挙も控えています。衆院選が終わったことで、今後は来年の参議院選挙を見据えた動きになってくるでしょう。