fbpx

習近平が台湾侵攻に踏み切らない3つの理由。”終身皇帝”となるも内部崩壊で手一杯=勝又壽良

GDP世界2位となった理由

中国は現在、GDP世界2位の座にあるが、これは次の要因によって実現した。

1. 一人っ子」政策による生産年齢人口(15~64歳)比率の急上昇(人口ボーナス期)がもたらした。

2. 環境破棄を放置して、経済成長を続けてきた。

3. 不動産バブルによる地価上昇をテコに、政府の財源をつくりインフラ投資を行ってきた。同時に、住宅投資関連によって関連産業を刺激し、GDPの25%見当を占める最大の産業に成長させた。

以上の3点によって、改革開放(1979年)後の中国経済は40年間で平均9.8%もの高成長を実現させたのである。

逆回転を始めた3つの経済成長要因

これら「3条件」は、すでに逆回転を始めている。中国にとっては、極めて厳しい条件に追い込まれているのだ。以下で、これらの問題点を取り上げたい。

1)「人口ボーナス期」が終わって、現在は「人口オーナス期」という生産年齢人口比率の低下局面にある。日本経済が、1991年以来ずっと悩まされてきた状況に、中国も2012年から遭遇している。それが、これから急激に下がる段階に達したのだ。日本経済で言えば2000年以降に該当する。後で指摘する中国のバブル崩壊が、これに追い打ちをかける。生やさしい事態でないのだ。

2)中国は、歴史的に環境保全という考えに無頓着である国だ。黄河中流部に広がる黄土高原は現在、荒涼とした光景であるが、もともとは緑うっそうとした地帯であった。それが、人々によって破壊されるままに放置されて、現在の無惨な姿になったのである。日本の江戸時代、幕府天領では無断で樹木伐採が固く禁じられていた。中国には、そういう自然を慈しむという風情がないのだ。

こうした悪習も手伝い、環境は破壊され尽くした。全土に「ガン村」が発生したが、大気汚染・土壌汚染・水質汚染が重なった結果である。現在は、情報が隠蔽されており詳細は不明であるが、根絶されたはずがない。毎年のGDPの3割前後は、環境破壊によるものという試算が発表されたことがある。この環境破壊は、修復されないままであり、大気汚染・土壌汚染・水質汚染を悪化させたのだ。大気汚染では、二酸化炭素の発生が異常気象問題と結びつき、世界的な問題になっている。これについては、後で取り上げたい。

3)不動産バブルは、「共同富裕論」という視点から、もはや継続不可能になっている。住宅価格高騰が、国民生活を圧迫する事態になってきたからだ。これが、出生率低下要因の一つに上げられている。政府は、不動産バブルを利用しての景気拡大が不可能になった。すでに、不動産開発企業に対して3つの財務比率規制を課している。こうして、業界大手の中国恒大がデフォルト(債務不履行)の危機を抱え、騒ぎを大きくしている。不動産開発企業100社の売上は、すでに10月まで連続4ヶ月、前年同月を割り込む事態に陥っている。

前述の通り、住宅関連需要はGDPの25%にも達している。住宅不振の定着は、中国経済へかなりの圧力がかかる事態となった。「不動産依存経済」が終焉期を迎えたのである。

私は、不動産バブルが中国財政と深い関わりを持っていることを繰り返し取り上げてきた。中央・地方の政府は、その財源として土地売却益を半分以上も計上する、異常な財政政策を続けてきたのである。まさに、土地が「打ち出の小槌」となっていたのだ。こんな不健全財政をよく継続してきたものと、その非常識さに呆れるのだ。中国は、専制主義から「二段階」も飛び越えて、共産主義社会を目指す。そういう非理論的主張の一端が、突飛な財政政策に現れていたのであろう。失敗すべき政策であった。

Next: 「脱炭素」実現が必須。このままでは中国経済は崩壊する

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー