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習近平が台湾侵攻に踏み切らない3つの理由。”終身皇帝”となるも内部崩壊で手一杯=勝又壽良

環境を無視した石炭依存度の高さ

中国の環境無視は、エネルギー源として石炭依存度の大きさに表われている。現在は、63%である。中国産石炭は、品質面で劣っている。石炭会社は、多く人々を雇用する一方、多額の債務を抱えている。「脱炭素」という世界的な流れの中で、石炭企業の整理は、極めて難しい課題となっている。

日本が、エネルギー革命に併せて石炭産業を整理したのは、1963~91年までの8次にわたる石炭政策であった。時代の動きを先取りしたのである。

中国には、こうしたエネルギー革命に背を向けて、GDP成長一本槍で進んできた咎めが現在、重くのし掛っている。時代の動きを読めないというか、歯がゆいばかりの怠惰ぶりである。

今、世界的な「脱炭素」の中で、2030年までは二酸化炭素の排出を増やし、それ以降に減少させるとしているが、実現できるか疑問である。過去、国際的な約束を守った例が少ない国であるからだ。

石炭の使用を早期に段階的廃止に持ち込むには、天然ガスの大幅な輸入拡大がおそらく不可避だろう。

その経路は、海上輸送の場合に地政学的なリスクを抱える。海上覇権を握る米国と万一、紛争を起すと天然ガス輸入に隘路となるのだ。

中国が、これに対抗して石炭使用に戻れば、どうなるか。異常気象の被害が、最も強く出るのが中国と予測されている。それだけに、自ら被害を大きくするだけである。

人間が生存できない猛暑が中国を襲う

米マサチューセッツ工科大学の研究チームは、中国の華北平原が、気候変動と集中灌漑によって、生命に危険を及ぼすほどの猛暑に脅かされると発表した。『ニューズウィーク』(2018年8月2日付)が報じた。

華北平原は、中国最大の沖積平野で、人口およそ4億人を擁する人口密度の高い地域であるとともに、灌漑農業が盛んなエリアでもある。とりわけ、集中灌漑は、温度と湿度を上昇させ、より厳しい熱波をもたらす危険性が高いと警告されている。

研究チームでは、マサチューセッツ工科大学地域気候モデルを使ったシミュレーションによって、気候変動が灌漑という人為的影響にさらなる作用をもたらし、華北平原における猛暑のリスクをどれだけ高めるかを予測した。それによると、温室効果ガスの排出量が大幅に削減されないかぎり、2070年から2100年までの間に、湿球温度35度以上の猛暑に見舞われる可能性があることがわかった。

研究チームは、暑い天候下での生存可能性を評価する指標として、気温と湿度を複合した「湿球温度」を採用。「湿球温度が摂氏35度(華氏95度)に達すると、健康な人間でさえ屋外で6時間以上生存することは困難」とされている。華北平原では、気候変動と灌漑との複合的影響による湿球温度の上昇幅が摂氏3.9度で、灌漑による上昇幅(0.5度)と気候変動による上昇幅(2.9度)とを足した数値よりも高くなるという。

中国の政治的主要地帯の華北平原が、夏になれば屋外で6時間以上いると、生存困難な地獄になる。想像しただけで身の毛のよだつ話だ。これが、環境破壊も顧みず経済成長に励んできた中国への「報い」であろう。

こういう科学予測が出ている手前、中国は石炭依存を続けられないはずだ。

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