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早期リタイア「FIRE」族の破綻が急増するワケ。日本人向けリタイアプラン「FIRA60」で仕事と老後の充実を得る方法とは?=榊原正幸

5,000万円ではまったく足りない。杜撰な「FIRE」は不幸への一本道

12月13日のビジネスサテライト(テレビ東京系列のニュース番組)で「FIRE」のことが取り上げられました。その番組で、「ともすると人生の落伍者になってしまうかもしれない生き方」を「FIREの成功例」のように取り扱っていたことに強い危機感を覚えました。

その放送内容を簡単に紹介します。

夫婦と3歳の娘さんが1人いる世帯の旦那さんが31歳で本業を辞めてしまいました。運用資金総額がたった5,000万円で、あとはYouTuberとブログのアフィリエイト収入だけ。奥さんは共働きだったため、まだ働いています。旦那さんが本業を辞める前までは世帯年収が1,500万円あったので、年間400万円で生活して、近年は毎年1,000万円以上を運用資金として貯めてきたそうです。2014年から株式投資を始めて、運用資金として5,000万円の資産を形成したそうです。

それで、旦那さんが31歳で本業を辞めてしまって、苦手な料理を担当して、ヒマな時は昼間から卓球、だそうです。

いやいや、待て、待て、と。

まず、推察するに、この旦那さんが達成してきた運用利回りは、せいぜい手取りで「4%」がいいところなのでしょう。運用利回りが4%よりももっと大きいなら(最初の頃は投資に充てる金額が少なかったのかもしれませんが)、近年は毎年1,000万円以上を運用資金として貯めてきて、7年間で運用資金総額が5,000万円ぽっちではないはずですから。

そしてなにより、この旦那さんのリタイア後の年収は推定で250万円です。年率4%の運用益200万円とYouTuberとブログのアフィリエイト収入が年間でせいぜい50万円でしょう(これは私の推定額です。YouTuberやアフィリエイトは、普通は思ったほど稼げません)。しかも、いずれも不安定な収入です。

本業では、推定ですが750万円を稼いでいたのでしょうから、500万円もの歳入欠陥です。それでは、まだ辞めてはダメにきまっています。

奥さんがまだ働いているので、当面は、経済生活は破綻しないでしょうが、奥さんもFIRE志望だそうですから、この旦那さんの決断は早計だったと言わざるを得ません。

だいたい、自分だけ先にFIREしてしまうなんて、奥さんがかわいそうなのでは?とも思いました。奥さんもFIRE志望だそうですからね。

仕事を辞めるなんて“30年”は早い

思うに、31歳というのは、私の人生に当てはめると、オーバー助手で就職浪人中でした。その時に、運用資金が5,000万円あったとしても、3歳の子どもがいて、奥さんも働いていたら、自分だけが仕事を辞めるなんて、考えもしません。

31歳というのは、人生において「さぁ、今から駆け出そう!」という、文字通りの「駆け出し」の時期です。その時点で本業を辞めてしまって、たかだか5,000万円の運用益と、か細い副業で暮らそうなんて、無謀もいいところ!

そして、もし仮にうまくいって、奥さんが辞めるまでに1億円くらい貯まったとしても、家族3人で年間400万円という慎ましい生活を一生強いられることになるのでしょう。しかもそれでは(特に、東京都内在住でしたら)、家賃や子どもの教育や自分たちの老後の医療・介護を考えると、年間400万円ではカツカツか足りなくなります。

年齢が80歳くらいだったら、5,000万円でもまぁいいでしょうが、31歳で5,000万円では「か細すぎ」です。若い人は「人生の残り時間」が多いので資金総額はたくさんないと盤石とはいえないのです。5,000万円では、「はぁ~??」ってかんじです。「5億円」の間違いじゃないの?と思いました。31歳でリタイアするのであれば、5,000万円ではなくて、「5億円」くらいないと安心できませんよ、と。

そして、その旦那さん曰く、「また働きたくなったら働けばいいと思っているのでぇ(笑)」だそうです。

オジサンは、「世の中、そんなに甘くないですよ」と言いたくなってしまいました(苦笑)。そんな人は、5年もしないうちに、運用に失敗して、歳入欠陥を補うために、非正規で、かつ不本意な仕事に就くのが目に見えているからです。職業観が甘すぎます。

Next: “一刻も早く”仕事を辞めたがる人の問題点とは?

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