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2万5000円の「底」へ向かう日経平均。“動けない日銀“ほか3つの波乱材料の着地点は?=馬渕治好

3つ目の注目点は、日銀の金融政策と、それが意味するところです。

前号のメールマガジンの「盛りの花」(「動けない日銀」が今後材料視されそう)では、欧米主要国の中央銀行はインフレ対応のための緩和縮小に動けるが、日本では経済が構造的な脆弱さを抱えており、日銀の金融政策は行き詰って動きが取れないだろう、と解説しました。そして「海外投資家の目が、現在の金融政策についての内外格差を契機に、日本経済の体たらくに向かえば、一段と日本株を買いたいとは考えないでしょう」と書きました。

実際、日銀は、2/14(月)に10年国債を0.25%で無制限に買い取る(利回りの0.25%超えを容認しない)と、先週2/10(火)に通知しました。現状の金融緩和政策(10年国債利回りをプラスマイナス0.25%の間に抑え込む)を一切変えない、との姿勢が明らかになりました。

こうして「利上げすらできない情けない日本」との見解が海外に広がると、当面は日米株価格差が広がりそうです。

3月頃の下値めどとして、日経平均は2万5,000円前後、ニューヨークダウは3万ドル前後を見込んでいますが、その「前後」で前と後のどちらの可能性が高いと考えているかをあえて述べれば、ニューヨークダウは3万ドルまで下落しない展開がありそうだと予想しますが、日経平均は2万5,000円を割り込むことがありそうだと見込みます。

株価ではなく、米ドル円相場については、本来は「情けない日本」との見解が広がれば、円安をもたらすはずです。米ドル円相場は、2/10(水)の米CPI発表時に一時116.30円近辺まで円安が進みました。この背景として、米国でのインフレ→米金利上昇→日米金利差から米ドル高・円安、という面もあったでしょうが、「日本売りによる円安」といった要因も強かったと考えます。

ところが2/11(金)にかけて、米ドル円相場は急速に円高方向に振れ戻り、一時115円ちょうど辺りまで下押ししました。これは、米株価が2日連続で下落色を強めたため、「リスク回避のための円高」が進んだためでしょう。

今後も、「日本がダメだから円安」と「世界株価がダメだから円高」ががっぷり四つに組み、米ドル円相場は方向感なく上下動をしばらく繰り返すものと予想します(最終的には、世界株価の下落がもう一段進展し、投資家のリスク回避的な姿勢が一層強まると考えるため、円高が勝ると見込みます)。

米ドル/円はどう動く?

なお、今後の米ドル円相場についての別の注目点を挙げると、日本の金融機関などの米債投資が、債券価格下落により、かなりの損失を抱えていると懸念されることです。3月決算期末を意識して、損失確定の売りが嵩むことがありえます。

とは言っても、満期まで保有する目的であれば簿価のまま計上すればよいので、売買に動かない金融機関も多いでしょう。また、手持ちの米ドルを米債購入に充てることも(特に大手銀行などでは)多いため、米債を投げ売りしても、その米ドルをそのまま保有しておく場合もあります。

また、円資金から米債を購入した場合でも、その際同時に為替先物でヘッジしている(現物で米ドルを買って米債に投じるのと同時に、先物で米ドルを売る)こともあり、すると米債売却時に米ドルから円に換えると同時に先物の米ドルを買い戻すので、為替には中立です。

このため、3月期末を意識した日本の金融機関の動きが、必ずしも円高を引き起こすわけではありませんが、市場で動向が注目される可能性はあります。

Next: 3月に2万5,000円割れも?中長期シナリオ結論

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