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ウクライナ侵攻がこじ開けた「ビットコイン覇権」への道。ロシア制裁を追い風に価格上昇も=高島康司

ウクライナで急増するビットコインの寄付

ウクライナが暗号通貨に野心的な国なので、ロシアがウクライナに侵攻した後、暗号通貨による寄付が急増している。

ウクライナ政府軍に支援を提供する主要な非政府組織の1つに「カムバック・アライブ」がある。ここはすでに500万ドル以上のビットコインによる寄付を受け取った。2014年に設立されたキエフを拠点とするこの団体は、ウクライナ政府軍に軍事装備や訓練サービス、医療品などを提供している。

ロシア軍がウクライナへの本格的な軍事攻撃を開始した後、同団体のウェブサイトに記載されたビットコインのアドレスへの寄付が急増した。同アドレスへの全寄付を確認したところ、2月24日から2月25日遅くまで、2,207件、合計で約126BTCの寄付が寄せられていることがわかった。現在のビットコイン相場では、500万ドル以上の価値になる。

このように、ウクライナに寄付をするためのビットコインを購入している人々もいるようだ。今後もこの傾向が続くと、ビットコインに対する需要の増大で、ビットコインの下げ相場を比較的にゆるやかにする可能性も指摘されている。

「SWIFT」からの排除とデジタルルーブル

他方、先日発表されたロシアの金融機関の「SWIFT」からの排除は、ビットコインを中心とした暗号通貨の相場には追い風となる可能性もある。

それというのもロシアの銀行は、「SWIFT」排除による国際決済手段喪失のリスクを回避するために、ビットコインを含めた暗号通貨への依存度を深める方向に向かっているからだ。

ロシア政府は、独自の中央銀行デジタル通貨、いわゆる「デジタルルーブル」を開発中であることを発表したのだ。これを使えば、まずドルに変換することなく、ルーブルを受け入れてくれる他の国と直接取引できるようになる。

また、暗号通貨の取引はブロックチェーン上に記録されるため透明性が高いが、ロシアで開発された新しいツールを使えば、こうした取引の出所を隠蔽することができるという。そうすれば、企業は検出されることなくロシアの団体と取引できるようになる。

すると、中国やイラン、ベラルーシ、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアのようなロシアの同盟国、またはインドのような欧米と一定の距離を取る国、さらにハンガリーのようなNATOのメンバーでありながらも親ロシアの国であれば、これを使う可能性もあると見られている。

また世界銀行によると、ロシアの輸出入ともに最大の貿易相手国である中国は、すでに自国の中央銀行デジタル通貨を立ち上げている。同国の指導者である習近平は最近、中国とロシアの関係を “無制限 “と表現しているので、積極的に「デジタルルーブル」を使う可能性が高いと見られている。

ちなみに、この種の回避策には前例がある。

イランや北朝鮮は、欧米の制裁の影響を軽減するためにデジタル通貨を利用している国の1つで、アメリカと国連の当局者は最近、この傾向を確認している。例えば、北朝鮮はランサムウェアを使ってビットコインを盗み、核開発計画の資金源にしていると国連の報告書は伝えている。

ロシアが制裁を回避するため、北朝鮮と同じようにランサムウェアを使ってビットコインを盗む可能性はいまのところかなり低いものの、「SWIFT」からの締め出しリスクを回避するため、ビットコインを中心とした暗号通貨も同時に使われる可能性も指摘されている。

Next: ビットコイン買いの絶好のタイミングがやってくる?

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