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殺人罪で逮捕も。日本人がウクライナ「義勇兵」に参加するとどうなるのか?=今市太郎

義勇兵は果たして傭兵なのか?たんなる戦闘ボランティアとして扱われる可能性

外国人部隊というと、すぐに思い出すのはフランスの外人部隊です。このフランスの外人部隊は徴用が外国人というだけで、その組織はフランス軍の一部でありますから、構成員は合法的な戦闘員ということが言えます。

ただ、ウクライナにおける「義勇兵」というのは、完全なウクライナ軍の一部ではないようで、いわゆる善意で参加する戦闘ボランティアということになるようです。

そもそも戦闘に対して、なんらかの対価が出るのかも現状では怪しい状況。実際は、傭兵以下の存在になる危険性も高まります。

傭兵ということになった場合でも、基本的に戦闘員としての資格がないとみなしている国は多い様子。その場合には現地の「民間人」と同じ扱いで、合法的な戦闘行為として認められないという見方が強く、戦闘中に相手を殺せば殺人罪に問われることもあるわけです。

法律学者の一部はそれでも国際法上、義勇兵も戦闘員資格を有するとしていますが、戦争の真っ只中では、それを正確に確認する術はありません。本当にこれがワークするのかは、やってみないとわからないというのが、正直なところではないでしょうか。

だからこそ、傭兵は一般の国の軍人よりもかなり高い報酬を受け取って、私的利益のために戦争に参加するのであって、単なる義憤から戦争に参加するのは残念ながら相当特異な存在ということができそうです。

しかも、国内法には刑法3条6号で「日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する――」という法律がありますから、日本から出撃に加わった場合に殺人罪に問われないという確約がありませんと、想定外の悲惨な状態に陥ることもありそう。

そもそも今回のケースでロシアに捉えられた場合には、相当に悲惨な扱いを受けることが予想されます。

さらに国内法でいえば、外国に対して私的に戦闘行為をする目的で準備することを禁止する私戦予備・陰謀罪にあたると指摘する向きもあります。

応募時点では法律違反とはされないものの、その先で本当に戦闘に参加した場合はどうなるか。わからないのが実情のようです。

Next: 海外での義勇兵の扱いは?英国やデンマークの見解は

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