今回のテーマは「原油高相場の歩き方」です。目下、ウクライナ紛争の影響で原油価格が高止まりしていますが、こんな時に私たち投資家はどんな行動を取ればよいのでしょうか。短期・中期・長期…それぞれの考え方を解説します。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
経済制裁と各国のエネルギー事情
まず原油価格です。ロシアのウクライナ侵攻を受けて原油価格が大きく上昇しています。
ロシアは世界有数の原油、天然ガスの輸出国なのです。原油というと中東のイメージが強いですが、ロシアはサウジアラビアに次いで2位、天然ガスに関しては世界1位の輸出量となっています。
どこに輸出しているかというと、なんと今対立している西欧諸国、特にドイツです。
欧州諸国にはパイプラインをつないで輸出しています。
そして今、アメリカ、ヨーロッパを中心に、ロシアに経済制裁を与えなければならない流れになり、ロシアをSWIFTから排除しました。
さらに、ロシアからの原油等の輸入をストップするということになると、ロシアのダメージは大きく、それによってウクライナへの侵攻を止めさせようと考えています。
しかし、これだけ原油・天然ガスの輸入をロシアに依存していると、そこからの供給がストップするとエネルギーの供給がままならなくなってしまいます。
それでも経済制裁を行うというのならドイツなどの国々は他の国から原油を調達しなければならず、原油を売る方としては多少高くても買ってくれるので原油価格を引き上げることになり、原油先物価格がどんどん上がるという状況になっています。
ところがこの原油の輸入を規制するという動きは一筋縄ではいかない部分もあります。
真っ先にロシア産の原油の輸入を停止すると言ったのがアメリカとイギリスなのですが、この2国はエネルギー自給率が非常に高いのです。
自国で消費しているとはいえ、アメリカイギリスは産油国です。ロシアからの供給が止まっても痛くもかゆくもない部分があります。
だからこそ真っ先に禁止したわけですが、一方でドイツや日本などの自給率が低い国々はロシアからの供給が無くなるとかなり厳しくなってしまうので、ロシアからの輸入禁止には二の足を踏んでいます。