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なぜ親の介護を家族がやると不幸になるのか?介護保険サービスをフル活用して「お金で解決」するのが正解なワケ=午堂登紀雄

介護保険申請からサービス利用開始までの流れ

要介護認定の申請は、本人がお住まいの自治体の窓口で申請します。本人や家族のほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者などに申請を代行してもらうこともできます。

主治医に意見書を書いてもらえるか確認
要介護度を決定するために、医師の意見書が必要になります。かかりつけの医師に意見書を作成してもらえるか確認しましょう。意見書は自治体から医師に作成依頼を出すので、この時は確認だけで大丈夫です。

要介護認定を申請
自治体にある介護保険の担当窓口に、介護保険申請書を提出します。申請書には、主治医、病院の名前、所在地、最終受診日など記入する必要があるので、それらがわかるようなメモや診察券も用意しましょう。

認定調査
申請後、調査員が自宅や施設を訪問し、申請者の心身の状態を確認して認定調査を行います。また、自治体が主治医に意見書作成の依頼を出します。

審査判定
調査結果や主治医意見書をもとに、コンピュータにて要介護度の一次判定を行います。その結果と主治医意見書を参考に、介護認定審査会が要介護度の二次判定を行います。

認定
申請から原則30日以内に要介護認定の結果が通知されます。非該当、要支援1~2、要介護1~5までのいずれかに分類され、受けられるサービスの判断基準になります。

ケアプランの作成
地域包括支援センターや、居宅介護支援事業者に、介護サービス計画書の作成を依頼。依頼された介護支援専門員は、必要と思われる介護サービスや周辺の施設、本人とその家族の希望などを考慮して、適切なケアプランを作成します。

介護サービス利用開始
ケアプランをもとにした介護サービスを受けられるようになります。要介護認定は、新規や変更申請の場合は有効期限が原則6ヶ月、更新申請の場合は原則12ヶ月。

また、介護者の状態に変化があるときは、要介護認定の有効期間中でも、要介護認定の変更の申請を行い、介護レベルを改めて判定してもらうこともできます。

要介護認定の申請をすると、はじめに自治体等の調査員が自宅や施設等を訪問して心身の状態を確認する認定調査を行います。認定調査の内容は以下の5項目。

身体機能・起居動作
生活する上で必要な身体機能に問題がないか、実際に体を動かしてもらったり、本人や家族からの話を聞いたりしてチェック。視力や聴力、寝返りなど13項目があり、関節の動きに異常がないか、麻痺がないかなどを調査します。

生活機能
日常生活で必要な動作ができているかどうかをチェック。トイレや食事、衣類の着脱など、普段の生活で行う動きを調査します。

認知機能
名前や生年月日などを正しく言えるかをチェックし、コミュニケーションがしっかり取れる状態か調査します。「今日は何月何日か」といった短期記憶もチェックします。

精神・行動障害
過去1ヶ月の間に、不適切な行動や言動(突然大声を出す、物や衣類を壊す、感情が不安定など)がなかったかを調査します。

社会生活への適応
薬の内服や金銭管理、買い物や簡単な調理ができるか、集団への不適応があるかどうかなどをチェックし、社会生活を送ることに問題がないかを調査します。

これらの聞き取り調査が終わると、コンピュータによる一次判定と、保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定を経て要介護レベルが決定します。認定されたレベルによって、給付される保険料が大きく変わり利用できるサービスも異なります。

現実的な解決策は

公的施設の特養は前述の通り人気で待機状態のところが多く、現実には民間のサービス付き高齢者施設が中心になると思います。

しかし民間ゆえにサービスの質や料金はまちまちで、一般的にはやはり高額な費用を取る施設の方が入居者の満足度は高いようです。

費用が安いところはどうしても人件費にそのしわ寄せが来て、サービスの質に直結してしまいがちです。

私は郊外に住んでいて、「ちいき新聞」という無料の情報誌が定期的にもらえるのですが、その中の求人情報の半分以上~8割が介護施設のスタッフで、慢性的な人不足というのがわかります。

そしてそうではない人がほとんどだと思いますが、職員による虐待などが起こりやすいのも安価な施設です。

さらには食事。こうした施設では食事が大きな楽しみのひとつですが、料金が安いと材料にもお金をかけられないため、やはり食事の質もそれなりのようです。毎日病院食みたいなメニューだとげんなりしそうです。ぜいたくは言えませんが。

中には施設内のレクリエーションが活発で、認知症予防などを兼ねてゲーム大会をしたりペットと触れ合ったり、いろいろ工夫している施設もあるようです。

このあたりは話を聞くだけでなく、体験入所などをさせてもらって本人とのフィット感を重視する必要があるように思います。やはり本人が気に入ることが最も重要ですから。

そのうえで、介護保険と本人の年金収入の範囲内で賄えるかどうか、オーバーした分を家族が補填できるかどうかというところです。

ちなみに私の妻の祖母が入所している施設は月額30万円だそうで、私も一度訪問したことがあるのですが、やはりキレイでスタッフの接客の質も高い。食事もおいしいそうです。

ただし、これがたとえば子どもが大学に進学し、子の学費・家賃・生活費を支援しながら親の介護費用を捻出するという、ダブルパンチになると一般家庭は苦しいかもしれません。

自分の両親だけではなく配偶者の両親もいて、進学した子も同時に複数いればなおさらです。

なので、そうした事態を想定しつつ、資金の手当をどうするかを考える必要があります。

Next: 親自身のお金で足りる?老後資金に「親の介護費」を盛り込む必要

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