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日立製作所、週休3日制で給与維持も「これじゃない」「柔軟に働ける」と賛否両論。1日あたりの労働時間が増える仕組みに「ただの残業代削減」との見方も

日立製作所が勤務日の最低勤務時間を撤廃し、給与を維持したまま週休3日の働き方も可能になる新たな制度を導入すると報じられたことが、大きな議論を呼んでいるようだ。

これまで日立の勤務制度では、週5~6日の勤務日は1日最低30分は働く必要があったということだが、新たな制度では1か月の勤務時間を満たせば、自身の判断で1日当たりの勤務時間を増やすことができ、そのうえで有給休暇とは別に休みを確保することができるようになるとのこと。

報道によれば、新勤務制度はすでに今年の春闘で労組側と大筋で合意しているといい、導入されれば日立の従業員約1万5,000人が対象となる。なお、導入時期や制度の詳細に関しては、今後詰めていくということだ。

ファーストリテイリングも同様の週休3日制を採用

菅政権下の昨年6月に閣議決定された骨太の方針に「選択的週休3日制」が盛り込まれたことで、日本国内でも検討・導入するところが殊に増えてきた感のある週休3日制。

ところが、他社に先駆けて導入を検討していたみずほフィナンシャルグループでは、週休3日の場合は基本給を従来の80%程度に、さらに週休4日なら60%程度に抑えるなど、多くの企業がこのような“給与減ありきの週休3日制”を検討する流れに。

これに対し、ネット上では「体のいいリストラ」「あくまでも企業への優遇策」といった声が溢れるなど、労働者の間で失望感が広がる格好となったのは記憶に新しいところだ。

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ところが、今回日立が導入を検討しているのは、週休3日でも労働時間自体は維持され、そのため給与も維持されるというもの。こちらのパターンは、ユニクロを運営するファーストリテイリングがすでに導入をしているといい、出勤する週4日の1日当たりの労働時間は、例えば従来が8時間だったとすれば、10時間に増えるといった形になるようである。

さらに日立のケースでは、例えば月前半の労働時間を長くすれば、月末には長い連休を取ることもできるといい、ひじょうに柔軟な働き方が実現するようなのだ。

「フレックスの延長では?」という見方も

こうして見てみると、以前多くの労働者を失望させた“給与減ありきの週休3日制”と比べれば、支持する意見も多いのではと思いきや、SNS上では「いやそうじゃないんだ…」といった声が多い様子。

海外では以前、労働時間は短縮するものの給与は従来と同額が支払われるという週休3日制を、試験的に実施したところ、大多数の職場で生産性が維持、あるいは向上するという“圧倒的な成功”を収めたという報道もあった。

働く側としては、やはりそれを週休3日制の理想形だと考える見方も多いわけで、となると日立が検討している週休3日制も、結局のところは労働時間の長さ自体は変わらないとあって、それゆえ「フレックスの延長では?」と捉える向きも結構多いようである。

いっぽうで、全体的な労働時間の長さは変わらず、勤務日1日の労働時間が長くなるということで、一部からは「これだと残業代が減るのでは?」といった危惧も少なからずあがっている状況だ。

このように、とかく日本においてはこの手の話が出ると、企業側に何らかの思惑があるのではといった、懐疑的な意見が噴出するのが、最近のお決まりとなっている感も。先述の通り、過去に多くの企業が“給与減ありきの週休3日制”を検討する流れとなったことも、大きく影響しているものと思われるが、そのようななかで果たして週休3日制が、働き方のひとつとして広く定着していくものなのか、かなり疑わしいところだと言えそうである

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