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「韓国が第2のウクライナに」中国紙が警告。四面楚歌の韓国ユン大統領は「親日」に舵切りか=勝又壽良

韓国大統領に就任した尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏は「対日融和」を積極的に行う姿勢を見せている。ロシアによるウクライナ侵攻の脅威を目の当たりにして、中国に対して日韓共通の危機意識をもたざるを得ないと考えているからだ。とはいえ、韓国「進歩派」の反日姿勢を緩和させるのは容易ではない。尹大統領も茨の道を歩むことになる。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

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※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2022年5月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

尹新大統領が投げた日韓緩和への「第一球」

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)新大統領が、5月10日に就任した。

発足間もないだけに、政策らしいものは打ち出されていない。だが、対日関係に積極的であることは窺える。例えば、尹大統領が日本議員団の祝賀使節に会った席で11日、「金大中(キム・デジュン)─小渕共同宣言を発展的に継承し、両国間の友好協力関係の新たな地平を開くよう期待する」と明らかにした。

また、尹大統領は「この5月内に韓国が金浦(キンポ)─羽田ラインを復活させるために金浦に防疫施設を構築し、日本出国者を全員検査して出国することができるようにする」とした。「日本側でも、(韓国の出国者が)直ぐに日本で活動することができるように(コロナ検査)免除をすれば両国交流が活発になるだろう」と発言。

早くも、日韓融和への「第一球」を投げてきた。

尹氏は、まず日韓の民間レベルの交流が復活すれば、外交的にも融和ムードが高まり、懸案の歴史問題もスムーズに話が進むという期待がある。

むろん、文政権のように日本の「謝罪」を前提にしたものではなさそうである。謝罪という言葉が出た途端に、険悪な関係に逆戻りすることは、尹氏も理解しているはずだ。

韓国保守派は、進歩派とその点が異なっている。

中国副主席は「日韓の雪解けムード」に警戒感

中国は、こうした日韓の雪解けムードに警戒姿勢を見せている。

韓国大統領就任式に出席した中国国家副主席の王岐山氏は、尹氏との会談で「敏感な問題を適切に処理すべきだ」と指摘した。

中国が強く警戒するのは、米国のミサイル防衛システム「THAAD」(超高高度ミサイル網)の韓国への追加配備だ。中国は、このTHAAD問題で韓国へ5年越しの制裁を行なっている。

文政権は、中国による経済制裁にすっかり怯えてしまい、一貫して「低姿勢外交」を余儀なくされた。尹政権は、防衛問題は国家主権であり、中国の指示を仰がないと「正論」に立っている。ましてや、米韓同盟を結んでいる。中国が横槍を入れてくる問題ではない。文政権には、どうしてもこういう正論を言える勇気がなかった。それは、「親中朝・反日米」という1980年代の韓国学生運動の流れに支配されていたからだ。要するに、昔の学生気分で外交政策を行なっていた。

尹大統領は、就任演説(3,450字分量)の中で「自由」について35回も言及し、「統合」には1度も触れなかった。その代わりに「市民」という言葉が入った。盧武鉉(ノ・ムヒョン)、朴槿恵(パク・クネ)元大統領の就任演説には、「市民」が一度も出なかった。文前大統領の場合は、一度登場するが(ソウル)市民のニュアンスだ。尹氏は、「市民」を15回も使った。民主主義の普遍価値である自由、さらには人権・連帯・博愛まで話したのだ。以上は、『中央日報(5月13日付)』コラムが報じた。

尹氏は就任演説で、「自由」と「市民」を重視することで、国政運営哲学とビジョンを説明し、国民だけでなく世界に送るメッセージにした。南北問題や対中国問題に対処する原点が、自由と市民にあることを鮮明にしたのだ。異色の演説であるが、米韓同盟を基軸にするという宣言である。日韓関係もこの延長に位置づけた。文外交との交点はない。

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