重油の奪い合いが起きている
ロシアの原油もほとんどが軽質油で、軽質油は過剰生産となっています。欧米がすぐさまロシア産原油を禁輸できるのは「需要がないから」という理由です。
世界で原油や天然ガスが有り余っていると言っても、原油は軽質油のことであり、ガスはパイプラインで配送できない地域に偏っています。逆に、輸出入が容易なところでは、不足しているというのが実態です。
中国も必要としているのは主に重質油であり、軽質油はあまり需要がありません。世界のエネルギー需給は重質油ということを理解しなければ、今の原油事情は理解できないと思います。
重油の産油国が増産しなければ今のエネルギー事情は改善しないのですが、その産油国のほとんどは経済不振や制裁などの問題を抱えています。
たとえばイランやベネズエラなど、簡単には問題が解消しない状況です。メキシコ、インドネシアなども問題だらけなわけです。
唯一、カナダだけが、米国の供給に寄与をしているのです。しかし、環境問題でそれも心細い状態なのです。
ロシア・ウクライナ戦を引き起こした米国の思惑
天然ガスは、結局、いろいろな問題がありますが、あまりにもウクライナが好き放題にやりすぎた側面があり、そこでロシアの怒りが爆発をしただけの話です。
そもそもウクライナはロシアからの収入が無ければやっていけない経済体質であり、そしてロシアもウクライナなしではやっていけません。
ただ、ウクライナのポテンシャルを、欧州で2番目の領土面積があり、肥沃な土壌という観点から見ると十分にやっていける能力があるのです。
ウクライナは近年ではスターリンによるジュノサイドが明らかになってきましたが、それ以前は西側からひどい仕打ちを受けています。その独立の渇望はすざましいものがありますが、あまりにもその場しのぎ、準備不足の感が否めません。
そこに米国の思惑、欧州のエネルギー事情があまりにもロシアに依存している危機感が、燃え盛ったという話であろうと私は理解しています。
米国には有り余る天然ガス資源があり、その輸出をなんとかしたいという思惑があるのかと思います。ただし、液化天然ガスのコストは、パイプラインと違い高すぎるわけです。
そのコストの高いLNGで欧州がやっていけるとは思いません。結局、ノルドストリーム2が制裁対象になりましたが、解除されることになるのであろうと思います。