週末の株価上昇はなぜ起きた?
週末もずっと考えていましたが、戻りいっぱいになるであろう、という考えには変わりがありません。
結局、ドル安と金利安で上昇したとしか考えられません。しかし、6月1日からのQT(量的引き締め)を控え、このまま上昇するとは考えにくいというのが考えの根本になります。
まず、わずかな円高ドル安です。この状態で株価が大幅に上昇することは考えにくく、そのほかの材料を考えます。週末にミシガンサーベイ(ミシガン大学消費者態度指数)のファイナルが発表されています。
その中で期待インフレ率(潜在成長率)が5.4から5.3に低下しています。この期待インフレ率と実質金利のIS曲線の交点を自然利子率と呼び、潜在成長率の低下は自然利子率の上昇につながります。
自然利子率が上昇することは株価にとってはネガティブなことであり、その反対の結果としてダウが1.76%も上昇したのは意外でした。私には意味がわかりません。また日本株は年間で8.12安、ダウは3.81安で米株の方が高い状態というのもよくわかりません。
ISM製造業のコンセンサスは前回、55.3とマイナス0.1ポイントですが、週末にはさらに下がって0.5マイナスとなっており、強気になれる材料がありません。わずかに強気できる材料はドル安と金利安ということくらいです。
今の時点ではわかりませんが「気迷いでの上昇?」と考えています。
関連指数から見ると夏のインフレ・金利高の可能性は高い
わかるのは金利ぐらいです。CBR指数(国際商品先物指数)が前日比1.99ポイント高の0.59%高。これでCBR指数は上抜けており、ドル安人民元高と資源高を押し上げる効果もありますので、商品市況の高騰は避けられない状況です。商品市況が高騰をして、金利がこのまま低下していくとは考えにくいです。一方、住宅ローン金利は低下をしており、金利の指標は住宅ローン金利ということを考えると、難しい判断になります。
住宅ローンが下がっているといってもわずかなことであり、住宅市場の不振もありますが、これだと下がったとも言いづらいのかなとは考えています。
この夏はインフレがそれほど進行しないと以前に記したことがありますが、この状況を見ると、おそらく予想外にインフレが進行することになるのではないのか、と考えています。インフレで株価が高くなる、金が高くなるというのは、経済にとってインフレがポジティブな場合であり、もちろん、経済以上に物価が上昇すれば株価や金価格にはネガティブになります。
私は前者になると判断をしているのですが、識者・専門家によっては判断が違うのでしょう。
FRBは、9月までにインフレ終息の目途がついたと公言をしていますが、FRBのインフレ予測も、去年からハズれまくっていますので、全面的には信用はできないです。
どちらにしろ6月も0.5ポイントの利上げをしてから判断ができることであり、今の時点ではなんともいえない、ということです。
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『角野實のファンダメンタルズのススメ』(2022年5月30日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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