当のご本人も出口なき戦略で早めに脱出したいのでは?
黒田総裁といえば、第二次安倍政権発足時とほぼ時を同じくしてアサインを受け、国債の猛烈な買入れで事実上の財政ファイナンスを実現し、MMT的な自由なカネのバラまきを行いました。
その一方で徹底して金融抑圧政策を実施し、マイナス金利からとうとう中銀にはできないとさえ言われてイールドカーブコントロールを実現しています。
さらには、株価を人工的に引き上げるために主要国中銀としては唯一の「ETF買い」で相場に大きな下駄を履かせることに成功しています。
また、その代わりに出身官庁の財務省が悲願としてきた「消費税率10%」の断行を勝ち取ったわけですから、ご自身としては相当やれることはやったという達成感をお持ちのはずです。
とはいえ、この緩和政策には最初から出口の設定がなく、戦時中のゼロ戦の片道燃料だけの攻撃と同じで、とにかく行けるところまで行って、その後の処理はそこでまた考える…という無鉄砲な施策であることも確かです。
黒田総裁はそういったことも十分にご存じですから、半年早めに退任するというのも決して悪い選択ではなく、むしろ早く足抜けできるなら大喜びなのではないかと勘ぐりたくなる状況です。
恐らく晩節を汚さないように、更迭ではなく自主的な辞任という形で幕引きをするのかもしれません。
ただ国民目線で見れば「インチキアベノミクス」の共同正犯ですから、責任を逃れてさっさと辞めるよりも、最後まで責任を全うしていただきたいものです。
それにしても後任の総裁は、とんでもない後始末を任されることになるわけですから、任命される前から悲惨な事態に陥ることが懸念されます。
総裁辞任・解任なら、どれだけ円高に反転進行するかに興味津々
為替のトレード視点で見た場合、黒田総裁の解任だか辞任だかが示現した場合、どれだけの円高が走るのかに大きな興味が集まります。
市場では、まず総裁入れ替えとなれば間違いなく金融政策の変更に繋がると推測するはずですから、簡単に5円や10円は円高に走る可能性を考えておく必要がありそうです。
先ごろバンク・オブ・アメリカが開示したドル円のフェアバリューはなんと90.74円で、足もとの実態は49%も高いとの指摘が出ています。
黒田解任だか辞任だかで円高に戻るのなら、いま岸田政権・財務省・日銀がとる円安対策としては、実は最高のプランになるのかもしれません。
いささか不遜な発言ではありますが、黒田消滅で円高ひと儲けにぜひともあやかりたい気分満載です。
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