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消費税の使い道を国民に誤認させた政府の罪。社会保障に使われる増税ではないことが参院選でいまさら露見=今市太郎

消費税は一般財源、決して社会保障充実のための特定財源ではない

この消費税、上述のようにスタート当初から高齢化社会の社会保障増加に対応するための税金というイメージが非常に強かったわけですが、実際は「一般財源」です。

その税収のすべてが社会保障のために使われるといった規定は、どこにもありませんでした。

ようやく社会保障の記述が法律の中に織り込まれたのは、民主党政権最後の野田元総理が財務省にすっかり丸め込まれて税・社会保障一体改革などと言い出して法案が成立した際に、辛うじてその使途を社会保障にも利用するとしたのが2012年。ですから、それまでは使途さえも規定されていなかったのが現実です。

確かに2012年に税収の使途を明記はしましたが、そもそも社会保障のための特定財源とはなっていませんから、「社会保障にも一部は使います」程度で、まったく拘束力のないものであることがいまさらながらにわかります。

まあ平たく言えば、増税法案を通しやすくするために記載してみたというのが正直なところなのでしょう。

NHKの日曜討論に登場した自民党の高市政調会長は、2012年に加筆されたこの規定を盾にとって、「消費税は法律で社会保障に使途が限定されている。デタラメを公共の電波で言うのはやめていただきたい」などと、野党からの攻撃を退けました。

ところがご存知のように、確かに記載はされているものの、実態として社会保障だけが使途にはなっていません。このことからネットでは批判が相次ぎ、大炎上となりました。

一般財源である以上、何に使ったのかはさっぱりわからないように仕立ててある

悪意をもってこの法律の制定をみれば、当初から一般財源でほかの税収と混ぜて使っているわけですから、我々国民が外側から監視しようと思っても、使途の内訳はまったくわからないのが現実です。

ただひとつだけ検証できるのは、この間に社会保障費は増えておらず、逆に削減されているという事実です。

一部の野党は大企業の法人税の穴埋めにつかっていると指摘していますが、それを証明するのは難しいものの、社会保障費が増税にもかかわらず削減されているということは、それに使われておらず、ほかの使途にまわされていることだけは間違いない事実のようです。

まあここだけ見てもせっせと増税で支払いをしてそれに耐えてきた国民としては、かなり憤慨すべき状況です。最低限、外から使途のチェックができるように、特定財源化すべき事案ではないでしょうか。

疑いたくはないですが、どうもこの法案を作った役人が最初から自由度の高い使途に対応できるようにしたとしか思えない状況で、時の政権はまんまとその策に乗ったきらいがあります。

Next: 茂木幹事長の「消費税下げたら年金3割カット」も間違いではなさそう

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