インフレ加速でFRBの金利1%上げも予測されましたが、原油などの下げもあり0.75%が市場コンセンサスとなりました。しかし、週末は米国株は一時大きな下げとなりました。これらは、アップル、アルファベットの下落が主要因。また、著名アナリストやモルガンもゴールドマンサックスもまだまだ不調は続くと予想しています(『新天地の株式投資日記』)
※本記事は有料メルマガ『新天地の株式投資日記』2022年7 月20日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。実際に配信されたサンプル号もお読みいただけます。
プロフィール:新天地
祖父の影響で子どもの頃から株の売買を行う。証券会社で自己売買業務を経験後に退社、現在はデイトレーダー。メルマガでは主に脱初級・中級者向けに、東証・NYの市況(市場雑感)、相場の考え方、取引手法などを解説。一般に書かれることが少ない空売り戦略や取引アルゴリズムに関してもプレーヤーの立場から丁寧にフォローする。
主犯はアップル、共犯はアルファベットで米国株下落
NY雑感。アップルとアルファベットが足を引っ張る。ディフェンシブも安い。
NYダウ 31072-215(-0.69%)NASDAQ11360-92(-0.81%)
アメリカ国債10年利回り日足
アメリカ国債5年利回り日足
1年から10年までの逆イールドは継続している
NYダウ日足
NASDAQ日足
NYダウ日中足
NASDAQ日中足
18日のアメリカ市場は朝起きたら「ありゃ???」なマイナスになった。 一時350ドルあったダウのプラスは綺麗になくなって215ドル安。差し引きで570ドルほどの値幅が出たことになる。 しかも上下がない陰線の丸坊主で引け味は悪い。
市場は「1パーセントのフルパ-セントポイント利上げは無くなって、0.75%利上げですみそう」(先週のミシガン大学調査でインフレ期待が2%台に落ちるなど、インフレ期待のアンカリングに成功しつつあると見られるため)という観測が広がり、強気で株式市場は始まった。ゴールドマンの好決算やボーイングが最新鋭の737MAXタイプ10を100機デルタ航空から受注したというニュースも、ダウを押し上げた。
これに対して下げの主犯はアップル、共犯はアルファベットと言ったところか。
アップルはブルームバーグなどが報じたところによると 経済の悪化に対応して2023年の投資などの支出や新規雇用を鈍化させるとされた。これをきっかけにアップル自体が2%下げに転じると、 アップルの半導体製造の委託先TSMCがマイナスなど広い範囲で売られるきっかけになった。 既に新規採用絞り込みが報道されているマイクロソフト(下げの遅行株)も連れ安の格好。
アップル日足
アップル日中足
(採用抑制の動きはメタ(旧フェイスブック)やアルファベット(グーグル親会社)、ネットフリックスやマイクロソフトに次ぐもの。 それにしても今期来季新卒のテック系の大学生はちょっとかわいそうやな。去年までは超売り手市場だったんだが)。
またアルファベットは広告について「検索を使用すること」などによる、独占的地位の濫用について訴訟対象になっていると見られるほか (ちょうどドラマで公正取引委員会やってるし、ある意味タイムリーだなw) ロシアで巨額の嫌がらせ罰金3.73億ドル(400億円超)にのぼる罰金を貸したということがマイナス手がかりに 。 なおアルファベットは18日から株式分割され価格が大きく変動していることに注意。相場がいい時なら分割初日は大きく上昇したりするんだけど「ご祝儀あげ」がないことも今の相場を示唆しているのかもしれない。
「カタリスト効果」と言ったりする 。あるニュースなどが株価を動かす働きをする時、その株や商品が置かれている状況や、潜在的な価値が価格の上下に影響を与えて 本質的なトレンドがより明確になることを示す。
たとえばアップルの採用抑制についても、相場がいい時ならばそれほど問題視されなかったかもしれないが、マーケットは敏感に反応した。アルファベットもまたそうだろう。
米国大企業注目の決算は今週がピーク
ちょっと大きめの月曜のざら場の値動きの後は今週決算のピークがやってくる。
今日は引け後にIBM、 火曜の引け後にネットフリックス、水曜の引け後にテスラ、金曜のより前にTwitter、といったあたりが相場に影響を与えることになるだろう。
そのIBMは決算を警戒して1.3%下げて引けたのだが、第二四半期決算はコンセンサスを上回った(ストックオプションなど、特殊要因を除いた調整後EPSは、予想2.26ドルに対して実績2.31ドル、昨年同期は2.23ドル)にもかかわらず、時間外でさらに3%下げ。合わせて5%近い下げになっている。
Next: 著名アナリスト、ストラテジストは変わらず景気後退を予想