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日本のビールCMはなぜここまでダサいのか?長期投資を呼び込む海外企業の段違いのマーケティング力=山田健彦

長期投資で投資先を選ぶ3つの基準

前回、前々回と奥野一成さんの著書である『ビジネスエリートになるための教養としての投資』について、そこから筆者なりに得た気付きを書きましたが、内容は以下のようなものでした。

1)高い利益を上げている企業
2)高い参入障壁があり、他社が容易に参入できず、上記1の高い利益を将来にわたりキープできる可能性が高い企業
3)実際に長期的に見て売上高や利益が伸びている企業

その中で、「2)高い参入障壁』の1つに「マーケティング力」も含まれるという趣旨のことを書きました。今回は、その「マーケティング力」についての筆者なりの気付きの話です。

国内と海外、ビールのCMの違いで見えるマーケティング力の差

国内主要ビール各社が、今後ビール広告でイメージガールを使わないことを発表しました。
アサヒ「イメージガール」廃止へ ビール大手4社から姿消す

各社とも「総合的な判断」として詳細を公表していませんが、筆者は女性層の開拓と本格的に世界で戦っていくための第一歩ではないか、と捉えています。

そもそも「イメージガール」などというのは典型的な日本のオジサン的発想で、イメージガールを残したままのマーケティングで女性層の開拓を望むのは無理があるのと、世界で戦っていく際に国によっては、イメージガール広告は、セクシャルハラスメントで訴えられる可能性もある、との懸念もあったのではないでしょうか。

例えば、キリンのCMとハイネケン、バドワイザーのCMを比較します。

キリンのCMはいかにも出演料が高そうな著名なタレントを出して、その旨さを強調しているように見えます。

「旨さ」というのは、その人の味の好みやその日の体調等が影響しているので筆者などは「そこまで旨さだけを強調して、意味あるのかな~?」などと思ってしまいます。

それと、これらのタレントさん、私生活では他社のビールや日本酒、ウィスキーやワインも飲んでいるんだろうな~、などと想像して、CMの中で「旨い!幸せ!」なんて嬉しそうに言っているのを見ると、逆に「ただの台詞だよな~」と白けてしまいます。

対してハイネケンは、人々の生活の潤滑油のような位置づけで製品をさりげなく売り込んでいるような気がします。

バドワイザーの広告は、退役軍人、殉死した軍人の遺族に奨学金を提供する良き社会構成員でありたいという会社の意思を織り込んでいるように見えます。

筆者の個人的感想ですが、キリンと欧米2社のCMの違いは、欧米2社のCMの方が圧倒的に心に響く点です。それに比べ、キリンのCMは何となく薄っぺらくて心情に訴えかけるものがほとどありません。

海外のタレント事情には詳しくはありませんが、欧米2社のCMに出演している人は、それ程著名な人ではないような気もします。その方がリアリティーを感じられるという事かもしれません。

皆さんは、この3社のCMを見て、どのビールを飲みたいと思いますか?筆者なら、バドワイザー、ハイネケン、キリンの順です。

個人的な味の好みから言うとキリン、ハイネケン、バドワイザーの順なのですが、その順位を入れ替えるほどCMのインパクトは大きいのです。これがマーケティング力の差の一つの例です。

チェックしてみると、バドワイザーは営業利益率が25.5%、キリンホールディングスのそれは3.7%(共に直近会計期の実績値)です。

販売しているプロダクトが違うものもあるので一概にどうこう言えませんが、それにしてもこの数値の差は大きいです

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image by:JDisobeyArt / Shutterstock.com
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資産1億円への道』(2021年8月1日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。

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