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投資トラブルの借金を苦に命を絶った20代女性。「貯蓄から投資へ」の圧力と「奨学金問題」の放置で将来ある若者を死に追いやるニッポン

投資トラブルが原因で150万円もの負債を負ってしまったという、社会人になったばかりの22歳女性が、そのことを苦に自殺してしまったという話が報じられ、SNS上などで大いに取沙汰されることとなっている。

記事によると、女性は大学時代の同級生を通じて投資に勧誘され、消費者金融に借りた150万円を相手に渡してしまったとのこと。その後、返金を求めたものの断られ、消費生活センターに相談したものの解決には至らず。女性はその後うつ病となり、自殺に至ってしまったという。

2歳の時に両親が離婚し、父親からの養育費がほとんど支払われないなか、母親の女手一つで育てられたというその女性。社会人となり、まもなく自身の奨学金400万円の返済も始まる予定だったという。母親は取材に対し、決して裕福ではなかった家庭環境のなかで少しでもお金を得たいという気持ちがあり、そこにつけ込まれたのかもしれないと、話しているようだ。

亡くなった女性は「ジュビリー」に出資か

最近では、お笑いコンビ「TKO」の木本武宏さんが、7億円規模とも噂される投資トラブルを起こしたことが話題となるなど、後を絶たないこの手の話。

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木本さんのケースは、本人の声明文によるとFX投資と不動産投資絡みだったようだが、この女性は「AIを駆使した暗号資産の運用」という話だったようで、記事の内容からして、どうやら21年11月に関係者7人が逮捕された投資グループ「ジュビリー」に出資してしまったようだ。

しかもこの女性を投資に誘った人物は、現金を早く用意するよう迫ったうえに「引っ越しの代金という理由にすれば借りれる」という入れ知恵をし、貯金がなかった女性に消費者金融3社から50万円ずつ借りさせていたようで、悪質性はかなり高かったようである。

しかしながら、トラブル発覚後に会見を開くと言っておきながら、今のところその気配が全くなく逃げ回っていると、ここに来て再び批判が集まっている木本さんとは対照的に、22歳女性は気に病んでしまい自ら死を選んでしまうことに。

なんとも痛ましい結末に、SNS上からは「これは読むのがつらい」といった反応も多くあがっているが、それとともに今後こういった悲劇を繰り返さないためにも、「やって来る投資話は全部詐欺」「“人にお金を預ける”から不幸が始まる」といった、金融リテラシーの初歩的なところを義務教育でしっかりと教えるべき、といった意見も多くあがっているところだ。

過酷な奨学金返済も悲劇の遠因に?

いっぽうで、今回女性が自ら死を選ぶに至った背景には、投資トラブルの件だけでなく、奨学金の問題も横たわっているのではという見方も。

確かに、騙し取られた金150万円に奨学金400万円をプラスした550万円という負債は、20代前半の社会人1年目という身分にとっては、あまりにも重すぎる負担であることは想像に難くないだろう。

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奨学金といえば、海外では返済の必要がない給付型を取り入れているところが多く、またアメリカでは今月24日、年収が一定水準以下の国民に関して、連邦政府の学生ローン返済を1人当たり最高1万ドル(約136万円)免除するという施策が発表されたばかり。

ところが、日本で奨学金というと返済が必要な貸与型がほとんどといった状況で、近年ではその返済に窮するケースが激増していると大きな問題に。

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今年4月には、政府が給付型奨学金の受給に関する年収条件の緩和を検討、といった報道があったものの、実際のところは「子どもが3人以上の世帯」「理工農学部系の学生」という厳しい条件付きということで、「やってるフリ」との批判が殺到したのも記憶に新しいところだ。

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今年5月に岸田首相がぶち上げた「資産所得倍増プラン」をはじめ、国は昨今「貯蓄から投資へ」の浸透に躍起になっているが、そんな風潮も悲劇を招く遠因となったのではとの声もあがっている今回の件。さらに奨学金の問題も暗い影を落としていた可能性もあるとすれば、女性は半ば国に殺されたようなもの……といった見方も浮上しかねない状況だ。

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