どうやらプーチンは、ウクライナ戦争を巡って欧州圏がもはや徹底抗戦などに付き合っている暇はないとして完全に分断し、その一部がウクライナに停戦を迫るというシナリオを考えている様子。ここから冬に向けては、EU圏を真っ二つに分断するような大騒ぎが起きる危険性を相当覚悟しておく必要がありそうです。(『 今市太郎の戦略的FX投資 今市太郎の戦略的FX投資 』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2022年8月31日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購読をどうぞ。
欧州圏、エネルギー高騰で「冬を越せない」
本邦も8月が終り、少しは秋めいた気候が訪れようとしています。
ところが日本よりもはるかに秋の訪れが早い欧州圏では、ウクライナ戦争をきっかけにロシアから供給されなくなった天然ガスの影響で燃料代や電気代が高騰しており、冬が来る前の足もとの状況でもパニック状態になりつつあるようです。
それもそのはずで、日本円なら月額1万円程度のエネルギーコストが20万円になります…などと言われれば、普通の庶民は暮らしていかれないのは当たり前の話。
特にこれから冬場の寒い時期を物理的にも価格的にも乗り越えなくてはならないという状況にあれば、凄まじく悲観的な見込みが顕在化することになるわけです。
これこそプーチンの仕掛けたエネルギー攻めの大きな罠
ロシアといいますと、ナポレオンの時代やヒトラーの時代に厳冬という大きな加勢を受けて、その侵攻を打ち負かすという大きな成果を得たことはあまりにも有名な話です。
どうやらプーチンは、今回もウクライナ戦争を巡って欧州圏がもはや徹底抗戦などに付き合っている暇はないとして完全に分断し、その一部がウクライナに停戦を迫るというシナリオを考えている様子。現実にそうなる可能性が極めて高くなりつつあるようです。
たとえば、その中心にあるドイツなどは、とうとうロシアからまったく天然ガスが供給されない事態に陥ることさえ想定しているようです。
とはいえ、いくら代替ガスを手配しても、皆で節約に務めたとしても、もはや冬を乗り切れないという見方も相当強まっています。
もはやウクライナに正義があろうがなかろうが、とっとと停戦を実現して、周辺国の国民の命が奪われないようにすることのほうが重要である…といった風潮が猛烈に高まりを見せているようです。
本来、ロシアに依存しなくても済むようなエネルギー政策をしっかり実現できていれば、何の問題もなかったわけです。
しかし状況は、端的に言えばロシアからガス供給を受けない限り、凍死しないで国民が春を迎えられる可能性は低い…というのがドイツにおける一般市民のコンセンサスになっている模様。
市民が政権を攻撃しはじめると、EU内でも激しい分断が表面化することが危惧されています。
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