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英ポンド急落は世界恐慌の兆候か。欧州経済の三重苦と“ドル独歩高”が呼び込む絶好の買い場とは=栫井駿介

米国経済の特徴

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<産油国>

何より産油国であることが大きいです。元々ある程度石油は取れていたのですが、最近はシェール革命ということで、シェールガスを技術の進歩によって、たくさん取れるようになった。

今や世界最大の産油国となったのがアメリカです。と考えると、少なくともロシアの影響なんか受けません。

ロシアウクライナ問題、ヨーロッパは直撃しているわけですが、アメリカは実は対岸の火事にしかなっていないわけです。それほど強い状況があります。

<強い企業>

当然企業としても、GAFAに代表されるように、経済を国際的に伸ばしていく企業が存在します。

ゆえに経済がポシャることは、当面ないだろうということが想定されます。

<高金利>

さらには高金利です。

キャッシュでドルで持っておこう。と思うわけですが、ただキャッシュで寝かしているというのは、金融機関・投資家としては、選択肢としてはなかなか有り得ません。

普通キャッシュで持つといっても、大体の投資家は、国債に投資をするわけです。どうせ投資するなら、高い金利の方が良いと考えます。

やはり金利の高いアメリカ、アメリカの国債に投資しておく。アメリカのキャッシュとして置いておく。消去法で考えたときに、これ以上の選択肢はないわけです。
 

米国はドル高を「黙認」

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結果、それ以外の通貨ではなくアメリカにお金がいって、米ドル高になっている。現在はそういった経済状況です。

したがって、もはや金利差というのは(金利差が全く影響していないわけではないのですが)そういう世界ではない。

世界がリスクオフに動いている。だからドル高が続いているという流れになっているのです。

為替が一方に動くと、当然メリット・デメリットありますから、不都合な人はそれを動かしたいわけです。

実際に日銀も為替介入を行いまして、円安から円高に少しでも戻そうという試みを行っています。

<ドル高 米国のメリット① インフレの抑制>

急速なドル高によって、アメリカが何かしなければいけないかというと、実はそこまでのことが必要ない可能性があります。

というのも、今インフレの状態で、アメリカが何をしたいのかというと、今の一番の目標は「インフレを抑える」ことなのです。

インフレが抑えられないと極端な話、あまり裕福でない人たちの暴動などが想定されます。
ゆえにとにかくインフレを抑える。そのために今金利を引き上げているのです。

一部金利の引き上げによる景気の後退を受け入れてでも、肉を切らせて骨を断つではないですけど、それを受け入れてでも、インフレを抑制しようとしているわけです。

<ドル高 米国のメリット② 自国経済の安定>

アメリカも様々な国から物を輸入しています。特に中国とかメキシコとか、そういったところから物を買っているわけです。

そんな中で、米ドルが高ければ、相対的に考えて、安く購入することができます。だったら目先のインフレは8.0%台という高い水準なんですが、ドル高によってそれが抑えられる、という側面があるわけです。

<ドル高 米国のデメリット 国際競争力の低下>

デメリットとしては、通貨高というのは輸出競争力がなくなるということがあります。競争力の低下があるので、ずっとほっといていいというわけではありません。

しかし目下アメリカの課題を考えると、米ドル高というのは非常に心地よい状態なのです。

<ドル高 米国以外の国のデメリット① インフレの加速>

一方で米国以外の国にとっては相当苦しいです。

イギリスなどは、例えば直近のインフレ率、アメリカの8%台対してイギリスは10%まで上がっています。これは通貨安が影響しているということは間違いないです。

インフレはその国の人の生活を脅かすものです。

ではインフレを加速させないようにしたり、あるいは自国通貨安を防ぐためにどうしたらよいのでしょうか?やはり金利を引き上げるという動きが必要になってくるわけです。

<ドル高 米国以外の国のデメリット② 金利引き上げによる経済への圧力>

しかし、金利を引き上げると、それはつまり、自国経済の悪化。(アメリカと一緒なのですが)自国経済の低迷を招きかねませんから、これもまた苦しい状況になる。

よってこのドル高。

アメリカの1人勝ちということになって、アメリカはそれを放置するのがある意味一番得策ということになっているわけです。

日銀が為替会議を行いましたが、これは当然アメリカとの協議の上で「仕方ないか」というような感じで介入を許したのです。ただ、アメリカは積極的にそこに関わろうとはしてないです。

過去の例を見ましても、本当にドル高を是正しようと思うのであれば、一国じゃなくて協調介入。あらゆる国が協調して、「今ドル高は困るから、ドルを引き下げる動きをみんなで行おう」という動きに出るわけです。

しかし今少なくともアメリカに関しては、それをする必要がないという状況になってしまっているわけです。従って米ドル高(動きがあるまではという話なのですが)続くんじゃないかと見られるわけです。
 

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