大手仮想通貨取引所のFTXが破綻しました。いま仮想通貨全体が値下がりしている中で、大きな転機となるのではないかと言われています。私は仮想通貨の取引は行っていないのですが、このニュースを少し気になって調べてみたら、どうやら仮想通貨の取引というのが、限りなくネズミ講に近いものであると。もちろんすべてがそうだとは言いませんが、一部ないし大多数は、これに近い性質を持っているのではないかと考えるに至りました。もし仮想通貨に対して、まだ十分な認識を持っていないという方は、この機会にぜひ仮想通貨の内実について学んでいただくことをおすすめいたします。ぜひご覧ください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
盤石に見えていた「FTX」が破綻
FTXはこのロゴで示されるものです。
どんな取引所かといいますと、アメリカ発で世界第3位の仮想通貨取引所です。
世界3位ですからかなり大きい。
しかも驚くことに2019年とごく最近出来たにも関わらず、急激に世界第3位にまで踊り出ていってるのです。
びっくりですね。
しかも実は「すごいしっかりしたところなのではないか」と見られていたのです。
というのも、出資していたのがセコイアキャピタル(これは有名なベンチャーキャピタルです)。
それから皆さんご存知のソフトバンクグループ。
また出てきました、こういうところには、必ずといっていいほど絡んでいるんですが、ソフトバンクも出資していた。
それからオンタリオ州教職員年金基金。
これは要するに固いとみられている年金基金。
それが入っていた。
さらに行きますと、テマセクHD。
これはシンガポールの政府系ファンドです。
そこも出資していたということで、一般的に見ればかなり信用力が高いと見られる取引所なのです。
その価値として上場はしてないのですが、出資した金額から換算される企業価値が320億ドル。
約4.5兆円価値があると見られていたのです。
これほど仮想通貨の世界では大きなものだったのです。
2019年設立で急成長した3つの理由
FTXは、2019年設立。仮想通貨というと、もう10年近くになります。
実は長くあるのですが、そんな中で2019年設立というと、かなりの新参者と言えると思います。
<理由その1:若き天才 サム・バンクマンフリード氏>
急激に会社を大きくしてきたのが、サム・バンクマン・フリード氏です。
この人は若き天才と言われていまして、若き天才というと、かつてFacebookのマーク・ザッカーバーグ氏もそう言われていました。
それと同じようにMITを卒業して急激に大きくなってきた。
急速なスピードで大きくなってきた。
元々数学も勉強していた、まさに天才なのです。
<理由その2:世界第1のバイナンスグループが出資>
急成長した理由として大きいと思われるのが、世界第1のバイナンスグループという、世界最大の仮想通貨取引所を運営している会社があります。
そこが出資した。
出資した中国の方によると「この取引所では圧倒的に優れたトレーディング体験ができる」ということをうたって、これはすごいということで、世界第1のグループが出資した。
そしてそれにつられるように、多くのファンドが投資したという状況になっているわけです。
<理由その3:トークンで資金力を膨らませる>
もう1つ、仕組みとして(の理由が)大きいかなと思います。
それがルールが整備されていないトークンという仕組みを使って、資金力を膨らませてきたのではないかというところです。
これは追って説明します。
通常、仮想通貨の取引所というと、取引所という名がある通り、あくまで仮想通貨を売買するための場所なのです。
日本で言うならば、証券会社がそれに該当すると思います。
その取引手数料、ないしは為替の取引ですと、BidとAskの要するに買いと売りの差額によって儲けるとか、あるいは取引数量で儲ける。
それが取引所の特徴でして、基本的にはバイナンスグループも取引所としてのFTXの価値を認めていたと言われているのです。
ところがその実情を見てみますと、必ずしも素晴らしい取引所であるというところにはとどまらない、ハイリスクないしは少し詐欺に近いような動きを行っていたのではないかということが見えてくるわけです。