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バフェットも買った半導体株は底を打ったのか?「まだ先」と言える5つの理由と本当の買い時=栫井駿介

半導体には「波」がある(シリコンサイクル)

しかし装置産業の宿命なんですが、実は巨額投資を調子がいいときはイケイケどんどんでやるのですが、それが仇になってしまうことが非常に多いのです。

なぜかというと、巨額投資をします。
投資をしたからには、そこでたくさん製品を作らないといけません。
たくさん作れば作るほど、自社だけではなく、TSMCもサムスンもインテルもやってるわけです。

すると商品が一気にたくさん市場に供給されることになります。
商品が非常に多く供給されると、需要と供給の関係で(経済を学んだ方ならすぐわかると思うのですが)供給が増え、需要を上回ると今度は価格がどんどん下がっていくという現象が起きるわけです。

そして価格が下がるということはメーカーの利益が減る。
ないしは、在庫がいっぱいになってしまう。
そもそも全く売れないということも考えられるのです。

そうやって半導体は、調子が良くなった後、一気に冷え込むというシリコンサイクルと言われるものが、これまでも繰り返されてきました。

このシリコンサイクル。
前年同期のプラスマイナスを示したものです。

順調に伸びているかと思えば、3~4年に1回マイナス成長になっている。
それが95年ぐらい、2000年、それから、2008年はリーマンショックの頃です。
そして直近でも2018年ですかね、マイナス成長になっています。

このように一筋縄ではいかないのが半導体サイクルで、直近コロナの話がありました。
すごく大きく成長したけれども、これだけ伸び、しかも設備投資がものすごく行われているということを考えると、またマイナスに振れてしまってもおかしくない。
そういう環境にあるわけです。

だからそのサイクルを見越して、今年初めから半導体の株価は下がっていったのです。

底を打ったと判断するには早いのでは?

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ただ一方で半導体は、世の中の景気を先取りする。
だいぶ早く来ると言われているのです。

世の中的には、景気はこれから悪化するだろうと見られています。
しかし半導体に関してはちょっと早いので、底を打ったのではないかという見方も一部にはあります。
ただ、私はまだそれは早いと思っています。

<理由その1:景気減速がまだ現実化してない>

景気減速がまだ現実化してないのです。
もっと悪くなる兆候は十分にあると思います。

もちろん景気後退が開始したという兆候がありまして、アメリカの絶好調だったIT企業は、もうリストラを始めているのです。
いよいよ本格化というところですが、景気減速というのはまだ現実化していません。

<理由その2:商品が供給されるのはこれから>

2022年にかけて、先ほど巨額投資工場を作るといいましたけれども、その商品が供給されるのはまだまだこれからなのです。
つまり2023年~24年というところで、商品が供給されることになりますから、価格破壊が起きるのはそれからでもおかしくない。

そんなとき景気後退によって需要が減ってたら、ますます苦しい状況というのも、もちろん考えられるわけです。

<理由その3:サイクルの底では業績は大幅に悪化する>

そして価格が下がると需要も減って、利益を出せない。
なんなら商品が売れないということになって、半導体メーカーの業績は大幅に悪化してもおかしくない。

現にインテルの業績は、利益が既にほとんど出ないぐらいに下がっていたりします。

<理由その4:下落局面でも株価は跳ねる>

またこの株価に関して、株価的には1回底を打って上がったようにも見えます。
しかし実は、株価の動きはそう単純ではなくて、ずっとひたすら下がり続けるというわけではなくて、下がる局面の中でも一瞬上がるみたいなことは往々にして起きるのです。

なぜそういうことが起きるのかというと、今は半導体が調子悪い。
だから空売りをしようと先に売って、下落局面で儲けようとする人たちがかなりいたとみられているのです。

しかしちょっと足元で株価回復しつつあります。
というのも、FRB(アメリカの中央銀行)がもしかしたら、今金利を上げてますが、金利を下げる。
あるいは上げるのを止めるのではないかという見方も出てきたのです。
それによって株価上がってきたのです。

<理由その5:短期的な上昇は踏み上げの可能性>

株価が上がると、空売りをしている人たちは困ってしまいますから一旦撤退ということで、売ってた株を買い戻すのです。
この買い戻しが株価の買い需要を呼んで株価が上がる。
これがすなわち「踏み上げ」という動きです。

この踏み上げと下落局面も株価が跳ねる「デッド・キャット・バウンス」
この二つの用語が出ましたが、そういった作用がありまして、今上がっている可能性も十分にある。
まだ楽観視できないということです。

何より株価の動きそのものから、ファンダメンタルズを予想するというのは、特にこういう短期的な動きに関しては、十分にそれを示す証拠はないわけです。

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