すごい日本株の特徴
ではそんな中で、なぜこの企業たちは生き残ってこれほどまでに成長することができたのか。
一社一社見ていきますと、その理由がなんとなくわかってきたような気がするのです。
それを簡単に「すごい日本株の特徴」ということでまとめます。
<一所懸命>
まず確かに言えるのは「一所懸命」ということです。
これは「一生懸命」(のもとになった言葉)歴史の授業で習ったかもしれません。
特に鎌倉時代で、自分の領地を守るために必死になること。
これを「一所懸命」という言葉で表したのが、今の一生懸命の語源になっています。
今挙げたような企業は、とにかく特定の分野に特化することで、他には手を広げない。
一方でその分野に関しては、自分の会社が一番であるという状況を作り上げたのです。
例えば東京エレクトロンだったら、まさに半導体製造装置半導体の下流とか、そちらには手を出さず「製造装置で世界一になる」ということに、とにかく特化した。
レーザーテックは、もっと極端です。
レーザーを使った半導体の検査という、ものすごくニッチな分野に特化する。
そこの研究開発を続けてきた結果、EUV光によるフォトマスク検査装置が大きく伸び、業績が爆発的に伸びたという側面があります。
それは半導体の微細化。
とにかく小さくなるというところにも応じているわけです。
そこまで先を読んだのかわかりませんが、「とにかく自分が一番になれるこの分野だったら負けない」というところに特化したのです。
ディスコに関しても、とにかく切るとか、磨く。
まさに磨き続けた結果、ここではシェア100%。
ものすごい小さい半導体をカットする技術を身につけられるのは、ディスコしかいないという状況になっているのです。
すなわちこの「一所懸命」をまさにしっかりとやっているところが挙げられます。
<顧客志向>
さらには顧客志向。
当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、これらの企業については特徴があるのです。
半導体製造装置のお客さんというと先ほども挙げました、Intel、サムスン、TSMC。
特に最先端の部分に関しては、この3社にほぼ限定されるのです。
しかも最先端。
ものすごい小さいものを作るという技術ですから、彼らのニーズに徹底的にある意味答え続けたのです。
しかも後ほど話しますが、この半導体製造装置で使う商品は、小さいだけでなくてすごい精密な環境。
清潔な環境というのが求められるのです。
なぜかというと、例えば少し埃でも入ろうものなら、小さい半導体はそれだけでショートして、製品が駄目になってしまう。
あるいはその製品を作っていくにあたっても歩留まり、不良品が作った中でどれだけあるか。
この不良品があまりに多くなってしまうと、そもそも商品として成立しなくなってしまいますから、そこの正確さ、精密さがものすごく求められるのです。
当然Intelとかはそれを要求してくるのですが、それに答え続けられたからこそ、生き残ってきたという側面があるのです。
逆にそういった要望を、なんなら先回りしてどんどん作っていく。
諦めることなく製造を続けるということで、成長を続けてきたというところがあります。
<強い経営者>
さらには強い経営者。
これらの企業いずれを見ても、ほぼ間違いなく、1人の強い経営者。
もうその企業といえばこの人みたいな、経営者がいて、その人が道筋を示して、その他の社員はそれに従っていくというところが全てあります。
レーザーテックなどは、例えば15年もの長期計画を立てて、1人の社長がいる在任期間に、その15年もの計画に向かって、ひたすら同じ分野をやり続けるという覚悟を示しているわけです。
特にこの分野に関しては、3つが必ず揃っていました。
もしかしたらこの分野でなくても、この3つのことは言えるのではないかと思います。
もちろん、これがあるからすぐに株価が上がるというわけではありません。
株価も業績もそれが成果を発揮するまでには、かなりの時間がかかるというのも確かです。
例えばレーザーテックを見ましても、結果的には150倍になってますけれども、この2014~2018年というところはほとんど上がってないのです。
要するにEUV光による検査装置が完成するまで、なかなか日の目を見なかったわけです。
ところがそこで続けてきた結果、ようやく日の目を見たわけですが、これを2年とか3年とかでもう駄目だということで、諦めてたらこの成功はなかったわけです。
これを実現するためには、やはり一所懸命が必要だし、顧客の要望が必要。
それから強い経営者。
これを四半期ごとに「もうやめるのか?どうするか?」みたいなことをやっていたのでは、続けることはできなかったはずなのです。
こういった特徴が挙げられます。