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世界が一目置く「日本株」3つの共通点とは?半導体製造装置に活路。長期投資家が避けるべきダメな企業の特徴も=栫井駿介

サッカーW杯で日本代表はドイツとスペインに歴史的勝利をあげるなど日本中を熱狂させる活躍を見せてくれました。今回はそれにかこつけてというわけではないのですが、株でも日本が世界に誇れる企業があるはずだ。そういった企業は一体どういう特徴があるのかということを分析してみました。特に今回注目したのが、半導体製造装置。日本は半導体製造装置で、高いシェアを持つ企業がたくさんあるのです。なぜ高いシェアを持つに至ったのか。それぞれの企業を分析していると、その要因というものが共通項として浮かび上がってきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

半導体製造装置で高シェアを誇る日本企業

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実は半導体製造装置で、高シェアを誇る日本企業はいくつかあります。

確かに半導体の最終製品を作っているところと言えば、Intel、サムスン、台湾のTSMCになります。
それらの会社に半導体を作るための装置を供給しているのが、日本企業に多くあるわけです。

半導体製造装置というのも、実はIntel、サムスン、TSMCだけで半導体を作れるわけではありません。
製造装置は、上に置く機械がないことには作れないのです。

そこで高いシェアを持っているということは、彼らにとってもなくてはならないという意味で、競争力がある。
下請けという位置づけにはなるのですが、競争力は非常に高い。

なぜなら、なくてはならない、他に頼むことはできない存在だからです。

<東京エレクトロン>

そういった企業をいくつか挙げてみますと、例えばコータ/ディベロッパというところでは、東京エレクトロン。
89%のシェアを持つ。

<レーザーテック>

それからフォトマスク欠陥検査装置。
特にEUVという分野。
細かい波長のものに関しては、レーザーテック。
これは100%のシェアを誇って、高い収益あるいは高い株価成長も遂げています。

<ディスコ>

さらにはダイサ。
半導体のできたものを切断する。
こういう技術を持っているのがディスコ。
これも100%のシェアを誇る。

シェア100%。
経済を学んだことがある人ならわかると思うのですが、一つの分野で100%のシェアを取るというのは、とんでもないことです。

なぜなら普通はそこの利益が出て、企業も利益を出しているのですが、利益が出るところは参入したら非常に美味しいわけですから、多くの企業が参入したいと考えるのです。

しかし、このような企業は独自の技術だったり、あるいは何らかの参入障壁を持って、他の企業が入れないようになっているからこそ、こういった高いシェアを誇っているわけです。

この高いシェアをもとに、これらの企業は成長を遂げてきました。

株価推移(10年)

東京エレクトロン<8035> 月足(SBI証券提供)

東京エレクトロン<8035> 月足(SBI証券提供)

レーザーテック<6920> 月足(SBI証券提供)

レーザーテック<6920> 月足(SBI証券提供)

ディスコ<6146>月足(SBI証券提供)

ディスコ<6146>月足(SBI証券提供)

特に半導体というと、市場そのものがスマートフォンの普及や、PCあるいはIoT。
車の自動運転など、様々なところで半導体が使われるようになってから、市場自体はものすごく拡大して、半導体製造装置という市場も大きくなっている。

そこでシェア100%ですから、30%~40%といったものすごい利益率を出しているのです。
当然株価も大きく上がりました。

10年の株価推移で見ますと

東京エレクトロン:約12倍
レーザーテック:約150倍
ディスコ:約10倍

というところで、ものすごい伸びてきているわけです。

これらの企業をひとくくりにしてしまえば、今半導体がとにかく調子いいということです。
一方では同じ半導体でも、例えば日米半導体競争と言われて、かつては東芝もそうですし、NECもそうです。
様々な日本の大手企業が半導体をやっていた時期があったのです。

ところが日米半導体競争というのがあって、アメリカからこっぴどく叩かれたということもありますし、そうでなくとも、半導体の競争から脱落してしまった企業もあるわけです。

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