<日本の弱み>
一方で弱みというのもありまして、大体対になっているのですが、やはり自由な発想力というのは、なかなかない。
それは規則中で生きてる人が多いから、というところがあるのではないかと思います。
それに
- がめつさ
- 起業家精神
- ハングリー精神
- 飛びぬけること
どれも非常に近い意味合いなのかもしれないのですが、人と違うことをするとか、人から飛び抜ける。
あるいはゼロから物を考える。
そして、とことん儲けるにはどうしたらいいかと考えるというところは、ちょっと弱いところなのではないかと思います。
そういう意味では、例えば今のIT企業。
Google、Amazon、Facebookみたいな非常に発想力が要求される。
天才的なエンジニアが必要だとか、そういう部分に関しては、日本の企業の苦手な部分なのです。
ただ、今の半導体不足が示しているように、ITとか軽いところの競争というのは、むしろどんどん激しくなっていいと思うのです。
一方で、それを何か現実社会で実現させようと思ったら、当然物が作れないといけない。
スマホ一つにしても、半導体が作れなかったら、スマホを作れなくなってしまいます。
いくらソフトウェアが発達しても、物がないといけませんから、それを実際に製造できるのは日本企業。
または台湾企業もそうかもしれませんが、日本企業ができることではないかと思います。
日本人・企業が得意な分野/苦手な分野
<得意な分野>
今の話を分野というところで整理しますと、日本人・日本企業が得意な分野としては、精密製造。
それから基礎研究が重要。
基礎研究で長い時間をかけて、一つの分野を研究し尽くす。
それがすぐ金になるかどうかわからないけれども、やるという特性が日本企業あるいは研究所にはあったりします。
そこは得意である。だからそれは削っちゃいけないところだと思います。
ただ一方では、国の予算なんか大学の研究予算としては、削られてきたりするので、それはいい傾向ではないと思います。
更には失敗が許されない。
失敗だったり歩留まり。
先ほど、製造業の話をしました。
歩留まりが多いと、商品にならないということで、お払い箱になってしまうのでいけません。
それから人の体に入る医薬品の製造とかも、かなり厳密さ・正確さ、そして緻密さというのが求められてくるわけです。
そういったものが生きる分野としては半導体。
今、半導体だったりとか電子部品。そして化学、医薬品。
この辺が日本企業が得意とする分野であると考えられるわけです。
<苦手な分野>
一方で苦手な分野です。
新たな市場を作ったり、顧客のニーズを引き出したり、駄目なものを切り捨てるのも苦手なのではないかと思います。
いわゆるポートフォリオ経営というところです。
さっきの一所懸命と対になるところですが、一所懸命にやってたところが実は駄目だったということになっても、なかなかそれ切り捨てられない日本人の特性がある。
特に経営のところです。
経営陣がやるべきことなのですが、そこをなかなか切り捨てられない性格がある。
それが非効率性を招いていることになるのではないかと思います。
それで、日本人がApple・iPhoneを作れたかというと、なかなかそれは難しかった。
そこに注目してしまいやすいのですが、そこはむしろ苦手な物。
まあ切り捨てるほどの必要はないかもしれないのですが、苦手なものであるという認識は持っておく必要があると思います。
強いて言うならば、例えばソニーは、かつてウォークマンを開発した発想力というのはあったりしますから、もちろん例外はあるという認識は持っておいた方がいいと思います。
しかし一般的には、こういったところがあるわけです。
コバンザメ戦法
それで私が推奨する、あるいは今日挙げた企業の中でやっていると思われるのが、コバンザメ戦法です。
この(スライドの)小さい方、サメの下についておこぼれをもらうというものです。
どういうことかというと、自ら市場を開拓するのではなくて、強い顧客。
強いというのは、当然大きいし、これから成長するし、一方では要求がものすごい強い。
ここに下請けじゃないですけど、そういった形で入るわけです。
最初は、当然買い叩かれるようなこともあるかもしれないのですが、そうやってその顧客に対するシェア、あるいは競争力を高めていくことによって、まずは要望を満たしていくことによって、他の会社が入れないようにする。
「あなたの会社にお願いするしかない」という状況を作るわけです。
すると、やがて強い顧客にとっても、なくてはならない存在になって、高いお金を払ってでもその会社のものを買わざるを得ない。
そうなると利益率は上がっていきます。
そうすることによって、やがてはその大きなサメと一緒に成長できるじゃないか、と考えるわけです。
もちろん理想としては、日本からAppleみたいな企業を生むということなのですが、和製GAFAみたいなことも言います。
しかしそれは、やはり得意な分野ではないと思うのです。
むしろ、和製TSMC。
それからこのレーザーテックみたいな会社をどんどんたくさん作っていく方が、日本企業にとって得意なのではないかと思います。
投資家としても、レーザーテックみたいな会社を見つけていく方が、充分理にかなっているのではないかと思います。
むしろ最終製品の分野というのは苦手だし、競争も多いのではないかと思います。
今日の話を参考にぜひ、あなたも素晴らしい企業はどういった点を見たらいいのかということを中心に考えてみてください。