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東京五輪、本大会業務も“談合”濃厚で「札幌五輪は完全に潰えた」との見方。最新調査では地元民の3分の2が“招致反対”と末期的状況

東京五輪のテスト大会に関連する業務の入札をめぐる談合事件について、そのテスト大会を落札したすべての企業が、本大会における運営業務なども受注していたことが分かったと報じられている。

組織委員会が関与する形で、電通など複数の企業が談合を行った疑いがみられている東京オリンピック・パラリンピックのテスト大会。東京地検特捜部と公正取引委員会が、独占禁止法違反の疑いで捜査を進めていたが、その結果、テスト大会の計画立案の委託先となった電通など9社と1つの共同事業体が、テスト大会や本大会の運営業務なども受注していたことが判明。受注額は総額でおよそ400億円に上るとみられている。

特捜部などは、本大会の業務の受注を視野に、テスト大会の段階から業者間の談合が行われた疑いがあるとみて、実態解明を進めているようだ。

「予想どおりの醜さ」と呆れる声

五輪テスト大会の入札をめぐる談合事件に関しては、大会組織委員会の元次長が、広告大手会社である電通の幹部らとともに、談合を主導していたとの報道も。

具体的には過去の運営実績や意向調査に基づいて、あらかじめ受注予定企業を決定していたといい、競合した場合は元次長が自ら「他の社に決まっている」などと伝えて、入札への参加を見合わせるよう求めたという話もあるようだ。

その結果、26件あった入札は、スポーツイベントの企画・制作に強いイベント会社であるセレスポの5件(1億1600万円)をはじめ、電通、アサツーディ・ケイ、東急エージェンシー、博報堂、大広といった広告代理店、さらにセイムトゥー、フジクリエイティブコーポレーション、電通ライブの9社、そしてセレスポとフジクリエイティブコーポレーションによる共同事業体がそれぞれ落札したとのこと。ちなみに先述の元次長による働きかけの効果か、26件あった案件のうち十数件は入札に1社しか参加しなかったという。

そして、これらテスト大会を落札したすべての企業がその後、本大会の運営業務まで受注したのだが、それらが入札が一切行われない随意契約という形での受注だったとのこと。

2兆円超ともいわれる巨額な赤字が残る格好となった東京五輪だが、その裏では巨額な金額が絡む談合が行われ、特定の企業のみが潤う格好となっていたということで、国民にとっては怒り心頭といった話のはずなのだが、とはいえ東京五輪に関してはスポンサー選定を巡る汚職事件が、すでに昨年大いに取沙汰されていたこともあってか、SNS上の反応をみると「案の定」「予想どおりの醜さ」などと、もはやこの腐敗ぶりも想定の範囲内……といった呆れつつも冷めた見方が多い模様だ。

札幌市民に広がる五輪への不信感

このように昨年大いに取沙汰されたスポンサー汚職に続き、入札談合事件のほうもその詳しい状況が明らかになっていくなか、SNS上では「これで札幌五輪は完全に潰えた」という声もあがっているところ。

地元紙による札幌市民をはじめとした道民を対象にした、五輪招致の是非について尋ねた世論調査によると、今年1月に実施された最新のもので、「反対」「どちらかといえば反対」が計67%と、前回調査より反対意見が10ポイント増え、ついに賛成派の約2倍に達するという結果に。反対理由としては「除雪やコロナ対策、福祉など他にもっと大事な施策がある」が最多なのだが、それに続いて多いのがやはり「五輪への不信感」となっているようだ。

このように、地元市民の間で五輪に見切りを付ける動きがいっそう進むなか、このような状況を受けて札幌市やJOCは、機運醸成イベントの開催などといった招致活動を、一旦ストップさせている状況のよう。つい先日には、札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)の柱に貼られていた、五輪招致をPRするポスターも剥がされてしまったようだ。

札幌市の秋元市長は招致活動のストップに関して「不信感の払拭が先決」と語るいっぽうで、五輪招致からの撤退は否定したとのこと。とはいえ、その“払拭”の前提として、今回の談合事件をはじめとした東京五輪における腐敗の実態がすべて明らかにうえで、関わった人間がしっかりとケジメを付けることが必要不可欠となるのは当然の話で、そうなると時間的な面もそうだが、色々な意味でもはや“手遅れ”といった感は否めない。

さらに国民からの厳しい視線は、2025年に大阪で開催される「関西万博」に対しても。というのも、同万博公式キャラクター「ミャクミャク」に関するライセンス事業などを、今回の談合事件でも家宅捜索を受けるなど大いに関わったとされる電通を含んだ企業共同体が受注していたためで、そのことを問題視する報道も少なからず出て来ているところだ。

五輪にしても万博にしても、いずれも国の威信をかけた一大プロジェクトであるわけだが、東京五輪を巡ってここまで不祥事が噴出する事態となったからには、当分はそういったプロジェクトも自粛すべき、というか行う資格はないのでは……。そんな声も、国民からは少なからずあがっているのが実際のところのようである。

Next: 「全てが確定するまで、五輪誘致もすべきではない」

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