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大正製薬「中国人のパブロン爆買い」で業績予想を大幅に上方修正も、なぜ株価は上がらない?

製薬大手の大正製薬が9日、業績予想の修正を行い、2023年3月期の連結純利益が前期比45%増の190億円になると発表した。

報道によれば、従来の予想からは70億円もの上方修正となる格好で、国内では新型コロナの抗原検査キットにくわえ、風邪薬「パブロン」の特需があり、さらに海外でも解熱鎮痛剤が伸びたという

上記の製品にくわえ、主力のドリンク剤「リポビタン」も堅調で、さらに広告宣伝費を抑えたことも、業績良化に寄与したようだ。

パブロンだけでなくヴィックスもバカ売れ

「効いたよね、早めのパブロン」のCMでもお馴染みであるパブロンシリーズだが、22年4~12月期の売上高はなんと前年同期比42.6%増の213億円にのぼったのとのこと。

感冒薬としてはもはや定番といったイメージも強いパブロンだが、ここに来て急に売れたのは、先日来から取沙汰されている中国人観光客らによる“爆買い”が影響したのでは、との見方が専らのようだ。

中国人による薬の爆買いは、日本だけでなくシンガポールや台湾、オーストラリアなどでも起きていたようなのだが、そんな事態を招く原因となったのが、中国が長らく続けてきたゼロコロナ政策の撤廃と、その直後から起こった爆発的な感染拡大。

40度近くの高熱や頭痛にくわえ、ガラスが刺さったような喉の痛みにも襲われる者がやおら続出したことで、中国国内において薬が圧倒的に不足する事態となり、そこで国外に薬を求めて赴き、さらに家族や親族あるいは知り合いの分までもということで、大量に買い占める格好となったというのが実情のようである。

そんななかパブロンに関しては、元々中国人向けの日本旅行買い物ガイドで「日本十大神薬」のひとつとして挙げられるなど、日本に行った際には買っておくべきアイテムとして知名度が高かったようで、そこに新型コロナの大流行が後押しされて、爆発的な人気となった模様だ。

またパブロン以外では「タイレノール」や「イブプロフェン」といった解熱鎮痛剤や子ども用の風邪薬、それに抗原検査キットも中国人からは人気だったようで、さらには先述の通り強烈な喉の痛みに悩まされる人も多いということで、龍角散などののど薬も人気が高かったよう。

現に、大正製薬の主要ブランド別の売上高をみてみると、のど薬としてこちらも著名な「ヴィックス」シリーズが、前年同期比の増減率が48.6%と、パブロン以上に右肩上がりとなっている状況。これも中国人による爆買いが大いに影響したものと考えられそうである。

業績“上方修正”に対して市場の反応は?

このように、誰もが予想外といったところの“中国人爆買い”特需によって、業績絶好調の大正製薬。

今回の“上方修正”を受けて、株価も爆上がりかと思いきや、発表当日の9日も終値は10円安の5,360円。さらに翌10日の終値も5,350円でほぼ横ばいと、意外にも上がる気配はなし。SNS上ではそのことを訝しむ声も少なからず上がっている反面で、正当な値動きだろうという意見もチラホラ。

確かに中国国内でのパンデミックもいつかは落ち着き、また薬の供給体制も整えば、わざわざ日本までやってきて薬を爆買いという異常な事態も鳴りを潜めるだろうという、冷静な見方をされた結果が、この値動きに反映されたといったところだろう。

Next: 「さらに業績は良くなるだろうね」

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