大統領選を意識?共和党との対決姿勢がイエレンの狙いか
ということで、債務上限問題はそう目新しいテーマではないのですが、ここ1か月あまり、正確にいえば昨年の年末あたりから、イエレンはこの問題を猛烈に煽りはじめています。
このまま議会がもめ続けることになれば、6月中旬にデフォルトに陥ることを明確に示唆しはじめています。
下院の主導権を握る共和党は、民主党がまず今後の歳出削減自体に同意しない限り債務上限引き上げを見合わせると強硬な姿勢を打ち出しています。それに対する、イエレンの逆恫喝にも見えてきます。
とはいえ、ここまで財務長官が独り歩きしてメディアに登場し、デフォルトを煽るというのもかつてなかったパフォーマンスであり、なぜここまでやるのかについては様々な憶測と違和感が醸成しはじめています。
とくに足元では、21年にもいったん登場したことのある緊急資金繰り措置に着手する話も飛び出しはじめており、給付時期が差し迫っていない「公務員退職・障害基金」と「郵便退職者医療手当基金」などへの拠出を停止する、つまり基金から一時的にせよカネを引っ張りだして政府の運営資金にするといった驚くべきプランも明らかにし始めています。
この領域で働く公務員にとっては「寝耳に水」の驚くべき話にもなっており、社会的に大きな関心事に発展することはどうやら間違いない状況になってきています。
イエレンとしては「共和党が議会で反対するから国がぶっ壊れかかっている」と主張したいのでしょう。
しかしバイデン政権になってからの放漫財政は凄まじく、すでに連邦債務は33兆ドル(日本円にして4,000兆円)を超えていますから、税収で金利を負担することさえできなくなりそうな危機的な状況です。
まあ伝統的な手法でいえば、どこかでいきなりドル安政策を始めて米国債の価値を大きく下げ、
日本をはじめとする米債大量保有国が大損して負債の一部を負担させられる……という時間が到来することになるのではないでしょうか。
やり方を間違って一時的にせよデフォルトに陥れば大災害に
6月まではまだ時間がありますから、とにかく何とか解決の道を探ることになるのでしょう。
しかし、この手の話は議会が政治的な駆け引きの材料として利用しはじめますと、一時的にせよデフォルトというまさかの自体をひき起こすリスクは相当高く、イエレンの警告が本当に現実のものになるといった事態に突入してしまうこともありえます。
ここからの状況の推移からは目が離せない状態になりそうです。