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ついに“卵抜き”TKGまで登場と深刻の度を増す卵高騰。鳥インフル収束後も価格は“高止まり”の可能性で「今までが安すぎた」との声も

卵の価格高騰が続くなか、とある飲食店ではいよいよ“TKG”卵がけご飯も“卵抜き”で提供されることとなっているようだ。

話題となってるのは焼肉チェーン「焼肉きんぐ」で提供されている「【すき焼専用】トリュフ香るTKG」。同店が今月3日に出したリリースによれば、鳥インフルエンザ発生拡大による卵の品薄、高騰の影響により、同日より卵抜きで提供すると記されている。

卵がけご飯にも関わらず卵が抜きになるという異常事態に、SNS上では卵がけご飯ならぬ「卵欠けご飯」といったワードも大いに取沙汰される事態となっているようだ。

普通の卵も高級卵との価格並みに

先述の通り、鳥インフルエンザの感染拡大によるニワトリの殺処分が急増、さらにウクライナ侵攻でトウモロコシなどの飼料価格が高騰していることもあり、出荷数が減少するとともに価格も高騰している卵。

出荷数の減少を受けて、養鶏農家は家庭向けの供給を優先しており、そのあおりを受けて「ガスト」や「バーミヤン」をはじめとしたファミレスでは、卵を用いた料理提供できなくなっていると報じられているほか、「セブン‐イレブン」などのコンビニでも、卵を使った一部商品の販売休止や商品規格の見直しが行われているところ。

また食品大手の「キユーピー」では、家庭用のマヨネーズ類やタルタルソースなど合計36品目を、卵価格の急騰を理由に、今年4月出荷分から商品価格を3%から21%引き上げることを発表しているなど、その影響は多岐に渡っているようだ。

ただ、家庭向けの供給を優先しているとはいえ、スーパーなどの店頭においても卵が品薄、あるいは品切れとなるという事態も全国的に発生しており、さらに売り場に並んでいる一般的な卵も、以前と比べると軒並み大幅値上がりしているといった状況。

そのため各地の売り場では、以前までなら“高嶺の花”と思っていた高級な卵の値段と、いつも買っていた普通の卵との価格差が、気付けばさほど変わらなくなっているといった事態も起きているようで、いつもは買わない高級卵を売れ残っているということで購入したところ、その美味しさに改めて目覚めたという声も、少なからずあがっているようだ。

血税投入と殺処分で維持されていた卵の価格

このように長らく続く卵の価格高騰と品薄状態だが、2022年末に野村哲郎農林水産大臣は「正月明けになると少し(高値は)落ち着いてくるというふうに思っています」と、状況を楽観視するコメントを出していた。

ところが、2023年に入っても状況は落ち着くどころか悪化するばかりで、2月には「落ち着いてきて価格も下がってくるのではないかと申し上げたが、完全な私の間違いというか、先を見通す力がなかった」と発言を訂正。政府サイドの見通しの甘さが露呈する格好となった。

このような状況を招いた原因となっている鳥インフルエンザの感染拡大に関しては、例年3月以降には落ち着く傾向があるということなのだが、そのいっぽうでニワトリのヒナが誕生し卵が産めるまでには、約半年はかかるということで、以前の出荷量に戻るのはそれ以降の秋ごろになりそう……といった声も聞こえてくる。

だが、もうひとつの要因であるトウモロコシなど飼料価格の高騰に関しては、ウクライナ侵攻の泥沼化もあって先を見通せない状況で、今後仮に品薄状態は緩和されたとしても、価格のほうが落ち着くのはさらに先、もしかすると以前のような安さにはもう戻ることはないのでは……とも想定も。

現にSNS上では、このところの卵高騰や品薄の状況を受けて「今までが安すぎた」「コストに見合った価格が今までついてなかったということなんだね」といった声も、チラホラとあがっているところだ。

そもそも従来までの安価すぎる卵の価格は、価格が安くなりすぎた際には国の補助金などからの赤字補てん、さらに増えすぎた採卵鶏を処分した場合には、生産者へ国からの補助金が交付されるなどといった、血税の投入にくわえてニワトリへの残酷な仕打ちによって維持されていたというのが実際のところ。

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“物価の優等生”と呼ばれ、その安さばかりを求められたことが招いたとも言える、そんな卵を巡る歪な状況だが、今回の高騰や品薄という事態を契機に、今一度見直される流れにもなっていきそうである。

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