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新NISA成長枠、公募投信の3分の2が対象外に。なぜ金融庁は長期投資に適さないと判断したのか?=澤田聖陽

金融庁は2024年に始まる新NISA(新制度)において、投資枠の最大3分の2を占める成長投資枠を使って投資できる投資信託を2,000本程度に絞り込む方針とのことである。公募投信は約6,000本あるので、3分の2が対象外となる。なぜ金融庁はここまで絞り込むのか?(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

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※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2023年3月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

NISA、旧制度と新制度のおさらい

改めて現状のNISAと2024年から始まる新NISAの制度について、ここでおさらいをしたい。

「現行制度」では一般NISAとつみたてNISAの2つの制度があり、それぞれ以下のような内容となっている。

<現行の一般NISA>

投資可能期間:2023年まで
非課税運用保有期間:5年間
年間非課税枠上限:120万円
非課税となる生涯投資枠:最大600万円

<現行のつみたてNISA>

投資可能期間:2042年まで
非課税運用保有期間:20年間
年間非課税枠上限:40万円
非課税となる生涯投資枠:最大800万円

利用については、一般NISAかつみたてNISAのどちらか一方のみの利用が可能(毎年1回は変更が可能)であり、併用はできない。

一方、2024年から始まる「新制度」については、以下のとおりとなっている。

<新制度のつみたて投資枠>

投資可能期間:恒久
非課税運用保有期間:無期限
年間非課税枠上限:120万円
非課税となる生涯投資枠:簿価残高方式で最大1,800万円(そのうち成長投資枠が1,200万円)

<新制度の成長投資枠>

投資可能期間:恒久
非課税運用保有期間:無期限
年間非課税枠上限:240万円
非課税となる生涯投資枠:簿価残高方式で最大1,800万円(そのうち成長投資枠が1,200万円)

現行制度ではつみたてNISAと一般NISAの併用はできなかったが、新制度では積み立て投資枠と成長投資枠を併用できるようになる。

また新制度では生涯投資枠については簿価残高方式で計算され、対象商品を売却すれば、その枠を翌年から再度利用できることになった(現行制度では、一度売却してしまった投資枠は消滅してしまう)。

新制度は現行の制度から投資枠も拡がり、併用もできることによって格段に使いやすくなったことは間違いないだろう。

NISAに向く金融商品とは?

NISAに向く金融商品は、一言で言えば長期投資に向く商品だと考える。

もちろん成長投資枠では株式への投資も可能だし、短期的な株の売買による収益についても非課税になるのだが、NISAは長期的な資産形成のための制度として成立した背景があい、以下に述べるような投資を行えば、やはり長期投資が一番制度のメリットを活かせる。

投資信託であれば、長期の積み立てであり、株式であれば中長期的に成長が見込める企業への投資や高配当銘柄などへの投資である。

投資信託の積み立てについては、購入価格はその時々のマーケット状況で高い時もあれば安い時もあるが、定期的に購入していくことでドルコスト平均法によって平均購入単価を平準化させられ、長期的な資産形成を行うのに非常に有効となる。

分配金を再投資に向けることによって、複利効果も期待できる。

成長投資枠で株式投資を行った場合、配当利回りが高い企業に投資して、その配当金を当該株式の買い付けに回すことにより投資効果を高めていくということも出来る。

また中長期で大きく成長する企業であれば、株価も何倍、何十倍にもなる可能性があるが、NISAの成長投資枠を使うことにより、大きく儲けても非課税で利益を享受できる。

Next: なぜ金融庁は公募投信の3分の2を成長投資枠に適さないと判断した?

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