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価格高騰で難易度あがる不動産投資…「小口化」商品は儲かるのか?プロが実物・REIT・不動産ファンドを徹底比較=姫野秀喜

優良案件探しの難易度

儲かる物件、儲かる株式(テンバガー)を購入するためには、圧倒的な学習と研究のプロセスが必要となります。

「優良案件探しの難易度」は、そのプロセスの難易度を表しています。

実物の不動産投資では、1,000件も2,000件も物件資料に目を通して、その中から50件、100件と現地調査を行い、財務3表(B/S、P/L、C/F)に基づく30年シミュレーションを作成して、インカムゲイン・キャピタルゲインの可能性をしっかりと見極める必要があります。

株式(個別銘柄)も、四半期に一度、四季報を熟読し、様々な指標を基に個別企業をピックアップし、その企業の有価証券報告書やIR資料、必要なら現地調査や製品調査などを行い、テンバガーの可能性を見極める必要があります。

不動産投資も株式投資も、定量的な知識から定性的な知識まで必要な学習を行い、分析・調査を行うために膨大な時間を必要とします。

そういう意味で、めちゃめちゃ大変です。というか、そういう大変な学習や調査をしないで、投資で勝つことはありません。

それに対し、リートはそもそも銘柄数が少なく、分析したところでテンバガーがそもそも存在しない可能性もあるため、その中からテンバガーを見つけるのが難しいという意味で、めちゃめちゃ大変です。

また、不動産ファンドにいたっては、業者が提案している商品の中からしか選べないため、その中に優良案件がある(なんて甘い世界ではない)可能性は極めて低いという意味で、めちゃめちゃ大変です。

まとめると、不動産投資と株式(個別銘柄)は、「当たり(儲かる物件・銘柄)は存在するが見極めがめっちゃ大変」ということであり、不動産ファンドとリートは「そもそも選択肢が少なすぎて当たりが入ってるのか不明」ということになります。

いずれにせよ、どの投資をするにしても「当たり」を探し出すのはめっちゃ大変ということになります。

不動産投資をやった気分になる

実は、不動産ファンドの最も大きなメリット?は、「不動産投資をやった気分になる」ということです。あくまで「気分」です。

不動産投資は、大変な学習をし、調査や分析をし、大きな借金を背負って、物件を購入するわけで、手間も苦労も半端なくかかります。

不動産ファンドは、それらすべてをやらずに手間なしで行えます。

面倒な学習もなく、調査や分析に土日を使わず、有給を取得して役所や銀行に行かず、大きな借金を背負わずに「不動産投資をやった気分になれる」のです

不動産ファンドは、それを最大のウリにしています。

つまり不動産ファンドは「不動産投資をやった気分」を味わう体験型アミューズメントと解釈できるのです。

そのため、不動産ファンドの商品は、ホームページに「物件写真」「物件情報」「周辺のエリア情報」など、その不動産について自分で分析・現地調査したかのような気分が味わえる情報がたくさん掲載されており、それを見て投資することができます。

本来、不動産投資は、相手が出してきた情報だけで投資判断せず、自分自身で現地を調査し、自分の目で見極めるというものなのですが、そういう苦労をしたくない人がターゲットだからお手軽に仕立てられているのです。

でも、どこまでいってもしょせん「不動産投資をやった気分」を買っただけです。

運よく値下がりせずに、元本が返ってきたとしても、その商品を所有している間の配当はせいぜい小遣い程度。

お金を出しているのに、物件の所有権を取得できないため、不動産ファンドが手に入れいている何億円ものキャピタルゲインをもらうこともできません。

もちろん例外もありますが、自分が投資している不動産ファンド商品の対象物件が、値上がりしても利益はもらえない一方で、値下がりした場合は、元本保証されないのです。

そのかわり「不動産投資をやった気分」を味わうことができるのです。

まぁ、キャピタルロスが出たところで、投資金額がせいぜい数万円から100万円程度の人がほとんどなのであきらめもつくという感じでしょうか。

これは不動産ファンド側から見ると、キャピタルロスが出ても1人当たりの金額が小さいため、集団訴訟を起こされるリスクも小さく、銀行融資よりも圧倒的に有利に資金調達できるというメリットとなります。

物件のキャピタルロス(値下がり)のリスクは、出資者に持ってもらい、元本割れしたら返済しなくてもよい資金を調達でき、転売が完了すればキャピタルゲインを得られるわけですから、うまい商売を考えたもんです。

Next: 投資するならどれ?「不動産小口化商品は儲かるのか」の結論

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