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サイゼリヤ“青森初出店”で注目集める「実は47都道府県未制覇」な外食チェーン。同業界では初達成の某チェーンは営業利益98%減と絶不調中

ファミリーレストラン大手の「サイゼリヤ」が、本州では唯一店舗がなかった青森県に第1号店を出店し、地元民が大いに沸いていると報じられている。

報道によれば、青森県第一号店が開店した場所は青森県西部の五所川原市。先月31日のオープン日には、午前10時の開店前から約50人の行列ができ、訪れた人はお目当ての料理を堪能するとともに、その低価格ぶりに驚いていたとのこと。

サイゼリヤは今後、今年7月に青森県東部にあるおいらせ町のイオンモールに、県内2号店をオープンさせる予定だという。

最後になるケースが多い山陰両県へのチェーン進出

地元テレビ局では、トップニュースとして報じるところもあったというほど、現地では大きな話題となったという、サイゼリヤの青森初出店。

いっぽう、今回の青森への出店で“本州の全都府県制覇”となったサイゼリヤだが、同店のサイトを見てみると四国地方では徳島・愛媛・高知、また九州地方では長崎・大分・宮崎・鹿児島、さらに沖縄の各県では、まだ未出店といった状況。

他の外食チェーンが相次いで価格改定を行うなか、頑なに値上げしない姿勢を取ることで、広く利用者からの支持を集め、今や世界で約1500店舗、国内だけでも1000店舗以上を展開する“勝ち組”サイゼリヤ。それだけに、とっくの昔に47都道府県への出店を果たしているものと考えていた向きが多かったからか、今回の青森への初出店を意外だと捉える見方も少なからずあるようだ。

このように、テレビCMを精力的に展開するなどで全国的な知名度を誇るにも関わらず、実は全47都道府県に出店していないという外食チェーンは結構あるようで、たとえば牛丼チェーンだと、「吉野家」と「すき家」は全都道府県に出店しているものの、「松屋」は鳥取・島根・高知・佐賀・長崎に店舗がなく、42都道府県への出店にとどまっているとのこと。

またサイゼリヤと同様のファミリーレストランでは、「ガスト」が唯一全47都道府県に出店しているのだが、そのいっぽうで同じくすかいらーくグループの「バーミヤン」は、2009年に47都道府県出店を達成したものの、その後不採算店舗の閉店やガストなどへの転換が進められたことで、47都道府県体制が崩れる結果となっている。

こうしてみると、外食チェーンにおける全国制覇の“ラストピース”となるパターンが非常に多いのが、鳥取・島根の山陰両県で、現時点で有名な外食チェーンだと「ロッテリア」「ロイヤルホスト」が両県になく、また「なか卯」「餃子の王将」はともに鳥取にはあるが島根に未出店という状況。

また「スターバックス・コーヒー」が、全都道府県で最も遅く出店を果たしたのも鳥取で、2015年のオープン時には待ちわびた地元民が、開店時に1000人以上の行列をなしたことも記憶に新しい。

なぜこの2県が他のエリアよりも出店が遅れることが多いのかだが、地元紙である山陰中央新報によれば、両県あわせて110万人程度という人口の少なさに、最も近い都会である広島県中心部から陸路で3時間以上かかるという物流上の問題が、大きなアドバンテージになっているとのこと。

さらにいえば、仮に大手チェーンからフランチャイズ展開の打診があったとしても、地元にそれを受けられるような経営体力を備える企業が少ないという点なども、チェーン店出店の遅れに繋がっているということだ。

47都道府県出店よりもその維持のほうが難しい?

いっぽう数ある外食チェーンのなかで、一番最初に全国47都道府県への出店を達成したところはどこかというと、意外というのは失礼だがハンバーガーチェーンの「モスバーガー」だという。

1972年に東武東上線・成増駅前のわずか2.8坪の実験店から始まったモスバーガーだが、その後目覚ましく成長し、創業からわずか14年後の1986年には、外食産業において初めての全国47都道府県への出店を達成。ちなみに、そのライバルである「マクドナルド」のほうは、1990年の山形県内への出店で“全国制覇”を果たしたとのことだ。

しかしながら、そんなモスバーガーといえばこのところ経営的にかなりの苦境に立たされているようで、2023年3月期通期の営業利益は、前期比でなんと98.8%減の4100万円で、最終赤字は3億1700万円に。

急激な円安や原材料費の高騰といった、他の外食チェーンも悩まされている要因にくわえて、同チェーンの大きなウリでもある“手作り感”重視のコンセプトが、昨今の人手不足やそれに伴う人件費増大といった流れのなかで、立ち行かなくなっているというのだ。

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最近ではすっかり冷え切った日本市場を見切り、客単価の高い海外市場に目を向けるチェーンも多くなっているが、とはいえ栄枯盛衰が激しい外食産業において、全国47都道府県への出店は各チェーンにとって大きな目標でもあり、すごろくで言えば“あがり”といったところ。しかしながら最近のモスバーガーの状況をみると、“全国制覇”以上にその維持のほうがより難しいというのが現実のようである。

Next: 「サイゼリヤ初出店に続くニュースは吉幾三が田植え」

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