足元では株価の上昇余地が限られており、海外情勢も不透明感が漂っている。しかし、内需・小売り・インバウンド関連などでは収益回復が見られ、投資家の関心は再び高まってきた。一部の銘柄は年初来高値を更新し、利益確定の売りが出やすくなっている。しかし、通期予想の上方修正は今後も続くと予想され、各銘柄にはまだまだ上値余地がありそう。したがって、目先の調整場面は押し目買いのチャンスと言えるだろう。有望なアパレル中心の消費関連株を4つ挙げたい。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2023年7月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
アパレル中心に消費関連(小売り)株の押し目を狙う
足元で、日経平均株価やTOPIXの上値余地がある程度限られ、海外の動向にも些か不透明感が漂ってきていると見られるなか、投資家の物色の矛先は外部要因に左右されにくく、ここにきて着実に収益状況の回復が見られている内需関連、消費関連、インバウンド関連に、改めて向かってきている。
アパレルを中心に百貨店やリユース関連など、小売りセクターは2月本決算企業が多いため、8月末に向けて中間配当や株主優待の権利取りの動きがみられる可能性もある。足元は、3-5月期(1Q)の決算発表が相次いでおり、いずれも業績急回復の傾向が見て取れる。
今週の始めあたりにかけて年初来高値を更新する動きとなった銘柄も多く、目先は一旦利益確定の売りが出てきやすくなっていることも事実。1Qの好決算を受けて、目先の好材料出尽くしといった反応も見られる。
ただし、多くの銘柄で今後も通期予想の上方修正が続くと見られ、少し長い目で各銘柄の上値余地はまだまだ広がり得ると個人的には考える。よって、目先の調整場面は押し目買いスタンスで臨みたい。
オンワードHD<8016>
7月6日、2024年2月期の連結営業利益が前期比92%増の100億円になる見通しだと発表した。期初予想(70億円)から30億円引き上げる。
なお、通期予想を上方修正してもなお、1Q時の進捗率は営業利益で53.8%、純利益(前期比63.3%増の50億円見通し)で67%に達している。いずれ再び上方修正されるとみていいだろう。
足元は、外出機会の増加に伴う消費回復が業績にプラスに働くうえ、不採算店舗の閉鎖といった構造改革も利益率の向上に寄与する。
配当は期末一括で16円(前期は12円)と期初計画から2円引き上げた。予想配当利回りは2.96%。
株価は400円処をネックラインとするソーサーボトムを完成し、そこから一気に上抜けてきている。現在の予想EPSでは予想PER=17倍換算となるが、今後、純利益の上方修正が行われれば、その分割安感も増すこととなろう。
高島屋<8233>
百貨店は全般に好調で、高島屋は6月29日に発表した1Qにおいて、営業利益が前期比66%増の110億円と、同期間では18年ぶりに最高益を更新した。
堅調な高額消費やインバウンドの回復が収益を押し上げる格好となった模様で、販管費の抑制も奏功。通期の業績予想も上方修正している。売上高は前期比7.1%増の4,750億円、営業利益は15.3%増の375億円を見込む。
2月本決算企業で、8月末は中間配当(14円予想)と10%割引の株主優待カードを受け取る権利が得られる。
株価は、絵に描いたようなV字回復。今年4月に年初来高値を更新(2,091円)し、その後も26週移動平均線に下値を支えられながら高止まりしている。
連結純利益の通期予想に対し、1Q時点の進捗率は34.8%。今後、通期の純利益予想が上方修正されることは必至と見られ、足元の予想PER=14倍は割安に映る。
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