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ユニクロ最高益でも株価急落は当然。個人投資家が知らない機関投資家のファーストリテイリング売買ルール=Team xoxo

日経平均とTOPIXの違いとは

まあ僕が若い頃は、日経平均株価を手計算で算出してみろ、なんてことをよく言われたものです。

今時そんなことを言うパワハラ上司もいませんし、なにより指数の値なんて、どこでも見ることができます。

さらに日経平均への指数寄与度ランキングも、すぐに入手することができ、非常に便利な時代。

日経平均株価は、日本で最も有名な株価指数であることは言うまでもありません。

一方で最も古い株価指数とも言えます。それゆえに先ほど書きましたが、現代に合うような修正を入れてきた一方で、その修正は指数の連続性を考えると、あまりにも大規模に行うことができないという、指数運営上の難しさがあったことは事実です。

また、2010年代は日銀によるETF購入が始まり、当初は225型ETFの購入も積極的に行われていました(今はTOPIX型のみ)。

目線を証券会社に変えますと、TOPIXと日経平均で決定的に違うのが銘柄数です。

いずれもいまだに指数ビジネス、例えば裁定取引など考えると225銘柄で済む日経平均型の方が、5月末現在2157銘柄で運用されているTOPIXと比較すると、オペレーション的に楽である実情があります。

それは投資家にとっても同様。

世界的に見ると、加重平均型株価指数が、株式市場の実情を正確に反映しているのは間違いないですが、それでもNYダウを始め、単純平均株価指数がいまだに残っているのは、世の中での認知度の高さや使いやすさがあるからだと思います。

SMBC日興証券は、日経平均に関する指数分析の前提条件として、日経平均と連動している資金が30万単位(1銘柄当たり3000万株)存在しているとしています。

それだけの資金量まで膨れ上がっている日経平均株価は、もはや単純に日本の株式市場の代表指数であるだけでなく、大きなビジネスの一部になっているのです。

ヘッジファンドがファーストリテーリングを狙う理由

話をファーストリテーリング株に戻しますと、日経平均株価には最大の寄与度、ウェイト銘柄なのですが、TOPIXウェイトで見ると43番目です。

TOPIXは加重平均型ですし、浮動株比率の調整も行っていますから、実際取引可能な株数で計算された取引のしやすさ(流動性)ランキングとも言えます。

つまり日経平均採用銘柄のなかで、一番流動性があるわけではないのです。

それゆえに、指数に売買があるとどうしても動きやすい株になり、指数を動かすには必要な株になったのです。

さらに昨年から始まった新たなルールが、今後のファーストリテーリング株に影響を与えそうです。

以前からファーストリテーリング株の寄与度が高すぎることは有名でした。

2021年のBloomberg記事に、日米主要指数での最大ウェイト株の比較がされていて、ファーストリテーリング株が特集されていました。

その頃に比べると、同社株のに日経平均への影響は減ってはいるものの、2023年7月14日引け値時点で10.89%

しかしこの10.89%というのが非常に曲者で、その理由は以下の新たに導入されたキャップ調整比率制度によるものです。

つまり今年の7月31日基準でファーストリテーリング株の日経平均でのウェイトが11%超えていると、株価換算係数にさらに0.9を乗じた数字がキャップ調整済み採用株価として日経平均株価に組み入れられるのです。

仮に7月14日が基準日だとして、ファーストリテーリング株が11%超えたとしたら

34,710円 x 3(株価換算係数)x 0.9 =93,717円

が新たな指数算出基準の株価ということになります。

現状が

34,710円 x 3(株価換算係数)= 104,130円

ですので、10%株価がディスカウントされた価格で算出されることになります。

すでに多くのパッシブファンドが、日経平均株価に連動しているファンドを運用しているため、この余分な10%をリバランスする必要が出てきます。

ちなみに先ほどのSMBC日興の前提条件で計算すると、3,124億円価値が減ることになります。

14日の状態(10.89%)であれば、ルールによると何も起きません。

しかし13日は11%を超えていましたし、明らかにこの11%という数字を挟んだバトルが繰り広げられています。

信用残(貸付残除く)を見ると、明らかに株価の上昇と共に空売りが増えています。

この空売りは果たして何を狙ったものなのか?

もし7月末11%割れを狙ったものであるならば、キャップ調整係数の必要がなくなるので、一旦買い戻しということになりますし、もし11%を超えれば、9月末の日経リバランス時の売り需要発生で、さらに売るのかそれとも決定と同時に一旦解消するのか?

非常に面白い動きがみられるかもしれません。

またこれで終わりではなく、来年の7月末には10%になっていないと、さらにキャップ調整係数がかけられ、またパッシブファンドフローを狙ったヘッジファンドの標的になるでしょう。

Next: ファーストリテーリングが急落したのは当たり前

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