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なぜ着々と日本衰退を進める自民党に票が集まるのか。悪政の数々を列挙して見えた実態。報道されぬ米国による「ニッポン改造計画書」とは=神樹兵輔

アメリカの言いなりで行ってきた自民党の米国隷属政策の数々

<横田空域の問題>

米空軍管轄の横田基地(東京都の立川市、昭島市、福生市、武蔵村山市、羽村市、瑞穂町の5市1町にまたがる国内最大級規模の基地)や厚木基地(神奈川県)を中核とする1都9県(東京、埼玉、群馬、栃木、神奈川、福島、新潟、長野、山梨、静岡)に広がる米軍の管制空域のことです。ものすごく広大な空域なのです。

これが、日本の領土でありながら、「管制権」は米軍にあります。

そのため、日本の民間航空機であっても、米軍の厳しい規制下にあるこの空域においては、飛行に制約を受けるため事実上飛べない状態です。

羽田空港や成田空港の旅客機の離発着にも支障をきたしています。これをずっと放置してきたのが自民党政権でした。

<対外有償軍事援助協定(FMS)>

アメリカの軍需産業を食わせるために、アメリカから武器を購入しなければならないというプログラムです。

日本はここから逃れるわけにいきません。アメリカで用済みとなった役立たずの兵器であろうと、自民党政府は文句を言うことが出来ません。

「これとこれを買いなさい」と命じられた兵器の購入を断わることは出来ないのです。兵器購入では、6兆円分の後年度負担金までも積み上げてしまっています。

これを戦後、ずっと米国政府の言いなりで受け入れてきて、一切文句を言わなかったのが自民党政府でした。

国民本位でなく米国政府本位の政治であることが如実にわかるのです。

<日本国土内の基地問題>

まるで米国の植民地のように日本中に米軍の基地が置かれ(全国130基地のうち米軍専用が81カ所、49カ所が自衛隊と共用)、訓練空域や訓練水域においては上記の横田空域同様の問題を多く抱えています。

米国は世界中に米軍基地を展開していますが、駐留経費の負担割合が75%(負担額44億1100万ドル)の高率に及ぶのは日本だけです。

2番目に多いドイツでさえ33%(15億6,400万ドル)、韓国に到っては、負担割合40%ですが負担額は8億4,300万ドルにすぎません。

これが日本独自の米軍への「思いやり予算」の結実です。負担は増えるばかりです。

1978年当時の自民党・金丸信防衛庁長官が、基地で働く日本人給与の一部まで負担することを申し入れてから、これが常態化してきています。

なお、アメリカは日米安全保障条約の下にある「日米地位協定」で日本中のどこにでも基地を作れるようになっています(外務省は日本政府の許可が必要と公言しますが、自民党政府がNOと言えるわけがありません)。

ロシアのプーチン大統領が北方領土を返さないのは、このせいだ――と主張している政治家もいますが、あながち間違った主張とも言い切れないでしょう。

沖縄・普天間基地の代替施設である辺野古の埋め立てすらもうまくいっていないのに、自民党政府は辺野古沖の緩いシャーベット地盤に基地を作ろうと強行作業に突入しています。

<日米合同委員会の存在>

前述の日米地位協定の合議がここで行われますが、外務、防衛の両省の上級官僚や在日米軍司令官からなるメンバーで、国会にも合議内容は報告されないため、国民にも公表されません。

秘密協定のオンパレードという疑義が数多く指摘されています。

かつて作家の故松本清張氏は「別の形で継続された占領政策である」と喝破したゆえんなのです。米国の言いなりで数々の秘密協定(密約)が結ばれているとされ、台湾有事の際には、真っ先に自衛隊への出動命令が出されてもおかしくないといわれます。

こうした占領政策もどきの秘密協議を戦後一貫して唯々諾々と受け入れてきたのが自民党政府でした。

<年次改革要望書>

源流は1993年当時の自民党の宮澤喜一首相とビル・クリントン米国大統領との会談で決まった「日本とアメリカ合衆国との間の新たなパートナーシップのための枠組みに関する共同声明」でした。

これ以降、さまざまなネーミングによる枠組みで日米両国の経済発展のために改善すべき規制や制度をまとめた――という名目の文書を、日米相互がタテマエ上は交換する形で提起し合っています。

そして、2001年からは毎年度、お互いの要望を文書にまとめて交換する形としたのが、現行の「年次改革要望書」です。

この「年次改革要望書」の交換は、自民党が下野して、2009年民主党の鳩山由紀夫政権となり、一時廃止されました。

しかし、自民党政権復活とともに再び交換を行うようになっています。

日米両国が互いに相手国に要望する形をとっているものの、日本からの要望が米国に受け入れられたことは一切なく、一方的に日本が米国からの要求に従う形となっており、「年次改革要望書=日本への脅迫状」とも呼ばれているものです。

要するにアメリカの国益にかなう日本――となるよう、いろいろな政策を求めたのが、この「ニッポン改造計画書」なのです。

内政干渉もいいところですが、自民党はこれを忠実に受け入れ、国民生活がどうなろうがお構いなしの忠犬ポチ状態になっています。

また、日本の大手マスメディアは、自民党への忖度なのか、自民党からの圧力なのかは不明ですが、一切新聞やテレビの報道で「年次改革要望書」の存在やその内容を報道することを避けています。一行たりとも触れない奇異な状況です。

今さら国民が知れば、これまで報道してこなかった責任追及やら自民党批判が起きて大騒ぎになるのが怖い――からなのでしょう。

これからも1ミリたりとも報道しないはずで、腐った日本のマスメディアなのです。

ちなみに、日本からの要望書は外務省ウェブサイトに、米国から日本への要望書は駐日アメリカ大使館のウェブサイトに日本語訳が載っています。

Next: 「米国の言いなりの自民党のせいで日本は厳しい社会に変えられた」

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