2023年4月、インドの人口は14億2,860万人に達して、チャイナの人口を上回った。世界最多である。チャイナは高齢化の影響もあってこれから人口が増えることはないが、インドは逆でこれからどんどん人口が増えていく。経済的にインドは見過ごせない国となっていく。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
これからインドが迎える輝かしい人口動態
2023年4月、インドの人口は14億2,860万人に達して、チャイナの人口を上回って世界最多となった。チャイナは高齢化の影響もあってこれから人口が増えることはないが、インドは逆でこれからどんどん人口が増えていく。
2050年にはチャイナの人口は13億人に縮小しているのだが、インドは逆に16億人を超えて増えていくのである。若い人口がどんどん増える。これはまさに「人口ボーナス」がインドにやってくるということなのだ。
人口ボーナスとは、ある国における人口構成比率が経済成長にプラスに働く状態を指す。その国が素晴らしいとかではなく、シンプルに「生産年齢人口が増加することで経済が伸びる」ことを指す。
生産年齢人口とは、具体的には15歳から64歳までの人口である。0歳から14歳まで、そして65歳以上の人口は従属人口と呼ぶ。
0〜14歳:隷属人口
15〜64歳:生産年齢人口
65歳以上:隷属人口
インドで言うと、生産年齢人口は約8億5,000万人いる。このうち、15~24歳の若年人口は約3億3,000万人である。
生産年齢人口が隷属人口よりも多いと、経済は発展しやすい。豊富な労働力によって生産性が向上する。さらに隷属人口が少ないので社会保障負担が少なくて済む。これがすなわち「人口ボーナス」の状態であり、これからインドが迎える輝かしい人口動態なのだ。
若い人口が多くて国は活性化し、消費も旺盛でイノベーションも起こりやすい。企業はより多くの労働力を雇用し、生産量を増やすことができる。
だから、これから10年くらいはインド経済は「伸びる」と言われているのである。
間違いなくインドのGDPは日本をも追い抜いていく
人口ボーナスによって、インド経済が伸びていくのは約束されているのであれば、インドに投資するというのは、ある意味「勝てる確率の高い投資」であるということもできる。
もちろん、インドにはインド固有の深刻な社会問題が大量に存在する。
カースト制度も依然として農村を中心としてしぶとく残っているし、ヒンドゥー教とイスラム教の対立もある。この宗教対立は国内を揺るがしているだけでなく、周辺国との軋轢にもなっている。
またインドの経済格差は私たちが想像するよりも根深いものであり、絶対貧困の層も数億単位で存在する。
このような社会問題が、インドの経済発展を阻害する可能性もあるわけで、これからのインドが一直線に成長していくわけではない。むしろ進んでは後退し、後退しては進むような、かなりボラティリティーの高い動きになっていくだろう。
新興国に投資するというのは、上にも下にも極端に動く変動(ボラティリティ)を受け入れるところからはじまる。
しかし、基本的には「今後10年から20年の間インドは経済成長する」という点で投資家の思惑は一致している。間違いなくインドのGDPは日本をも追い抜いていく。
したがって、資本主義の総本山であるアメリカを軸にして、投資資金の10%ほどをインドに投資する投資家が今後は増えていくことになるはずだ。
1990年代にグローバルな資金がチャイナになだれ込んでいったが、それと同じことがインドにも起こる可能性があるのだ。この流れに関心があるのなら、インドへの投資は「今」がまさに旬であるとも言える。