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ウクライナ反転攻勢は失敗へ。西側メディアが報じぬ本当の戦況、2035年まで戦いが続く可能性も=高島康司

ロシア軍の死傷者

では、ロシア軍はどうなのだろか?「ニューヨークタイムス」のような西側の主要メディアの中には、死傷者は30万人程度と見ているところもある。しかし、ロシア軍の死傷者数には比較的正確に分かるサイトがある。それは「Mediazona」というニュースメディアのサイトだ。ここは、BBCのロシア語サービスおよびボランティアチームと協力し、ウクライナにおけるロシア軍の死傷者に関する情報収集を続けているサイトだ。

この数字は、兵士の親族によるソーシャルメディアへの投稿、地元メディアの報道、地元当局の声明など、一般にアクセス可能な情報源から得られたものだ。そのため、完全な死者数を把握しているわけではないとしながらも、死者の名前と出身地域までも特定して死者数を出しているので、信頼性が高いと見られている。以下のサイトだ。

・ウクライナでのロシア人犠牲者。メディアゾナのカウント
https://en.zona.media/article/2022/05/20/casualties_eng

そして、ロシア軍の死傷者数だが、9月22日現在で3万2,656人だった。プーチン大統領やショイグ国防省はウクライナ軍の死傷者数はロシア軍のそれよりも10倍多いとことあるごとに言っているので、あながち大きくずれた数値ではないのかも知れない。

ウクライナは敗北、だが戦争は続く

このように見ると、主要メディアの喧伝するイメージとは異なり、ウクライナ軍の反転攻勢が成功することはない。ウクライナ軍は大きな損失を出し、非常に困難な状況に追い込まれることは間違いない。土地が泥ぬまになり、軍の動きがとれなくなる11月頃には、ウクライナの敗北は見えてくるという意見もある。

しかしながら、これでゼレンスキー政権がロシアとの和平交渉を開始するかと言えば、そうなる可能性は非常に低いとする見方が優勢だ。シカゴ大学の著名な国際政治学者、ジョン・ミヤシャイマー教授は、この戦争は延々と続く可能性の方が高いという。

アメリカはウクライナをあらゆる側面で支援しつつも、米軍は一切派遣していない。もちろんウクライナの国際部隊にはボランティアで参加しているアメリカ人兵士もいるが、正規のアメリカ軍が戦争に介入しているわけではない。軍事的にアメリカは無傷なのだ。

またウクライナという国は、アメリカにとってさほど重要な国ではない。アメリカはエネルギーも食料も基本的に自給できる国である。ウクライナという国の行く末にアメリカが政治的、経済的に依存しているわけではない。

こうした状況なので、アメリカはロシアを弱体化する目的でウクライナを支援し続け、延々と戦争を続けることができる。ウクライナの国民と国土が焦土になっても、戦争は続くとジョン・ミヤシャイマー教授は見ている。

Next: 戦争は2035年まで続く?2つだけある和平シナリオとは

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